さらに「トランプ支持者、トランプ有権者、そしてトランプ自身が平和を知ることがないように」といったSNSでの投稿が猛批判を浴び、その謝罪の言葉も述べられた。

◆政治的スタンスが正反対の二人が出演

 他にも、小人症の俳優のピーター・ディンクレイジは「洞窟で共同生活をする7人のドワーフたちの話は時代に逆行している」と述べ、アニメのデヴィッド・ハンド監督の息子デヴィッド・ヘイル・ハンドは「実写はアニメとまったく異なるコンセプトで賛成できない」などと批判した。

 さらには、パレスチナ解放とガザ停戦を求めるレイチェル・ゼグラーと、シオニスト(ユダヤ民族が祖先の地パレスチナに国家を建設しようという運動である「シオニズム」を支持する人)であるガル・ガドットという正反対の立場の俳優が出演していることもあって、その両サイドの支持者から攻撃されている。

 レイチェル・ゼグラーは2021年の『ウエスト・サイド・ストーリー』のときにも共演者のスキャンダルに見舞われたこともあり、ここまでのバッシングはさすがにかわいそうにも思うのだが、やはり主演俳優という立場からの、アニメおよびそのファン、さらには個々人の政治的なスタンスを侮辱するような発言への批判は当然だ。キャラクターと異なる設定やイメージの人種の俳優をキャスティングすることの是非も、引き続き議論は必要だろう。

 こうした結果を受けてか、ハリウッドでのレッドカーペットは規模を縮小してメディアも制限された。ディズニーの実写映画が物議を醸すことは今までにもあったが、その中でももっとも炎上してしまった。それらのネガティブな印象は、本編の評価にも少なからず影響してしまっているだろう。

※以下からは、実写版『白雪姫』本編の一部内容に触れています。