なによりさや香は「不仲」でもネタは抜群におもしろく、実績も残し、バラエティ番組でも平場が強いなど、仕事としてきっちり成立させている。つまりさや香にとって、現在のその関係性がもっとも仕事がやりやすい形なのだと思う。それはお笑い芸人に限らず、会社などの職場でも同じではないか。仕事がうまくいき、しっかりお金も稼げるのであれば、同僚と無理に仲良くする必要はない。それが仕事というものだ。
さや香は2024年、『M-1』に関しては“充電期間”としたものの、2年ぶりに『キングオブコント2024』に挑戦(準々決勝敗退)するなどした。そして今回は、新山が『R-1』で決勝進出という結果をきっちり出した。コンビ仲がどうであれ、仕事は結果がすべて。それで文句のつけようがない実績を残しているのだから、周囲も「もっと仲良く」や「不仲は良くない」なんて言えるものではないだろう。
なにより「不仲」を公言した上でそれを笑いに昇華しているからこそ、さや香は解散という最悪の道をたどらずに済んでいるのかもしれない。
(文=田辺ユウキ)