労働基準法では、1日8時間、週40時間が法定労働時間として定められています。したがって、1ヶ月4週間とすれば、160時間が法定労働時間となり、時給1500円で働くとその報酬月額は24万円となります(※3)。
2. 時間外労働の上限まで残業した場合の報酬月額
労働基準法で認められる時間外労働の上限は、特別な労使協定がない限り月45時間、年360時間です。また、時間外労働をした場合は、賃金が25%(深夜労働、休日労働を除く)増額された賃金が支払われます(※4, 5)。
したがって、時給1500円の会社員が、通常の時間帯で45時間残業をした場合に支払われる報酬は、1500円×1.25×45時間で計算され、その額は8万4375円となります。
3. 働き方と総報酬月額相当額
総報酬月額相当額の算定に用いられる標準報酬月額とは、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した額で、保険料や年金額の計算に用いられます(※6)。現在の標準報酬月額は、1等級(8万8000円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています(※7)。
また、標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与額から1000円未満の端数を切り捨てた額です。今回は、年間賞与の額を報酬月額(残業代を除く)の2ヶ月分と想定しています。
時給1500円の会社員における、働き方(残業の有無)と賞与の有無に応じた総報酬月額相当額は、図表2のとおりとなります。
図表2
年金が停止される老齢厚生年金額
1. 総報酬月額相当額と老齢厚生年金が停止される年金額
時給1500円で働く会社員における、働き方と賞与の有無に基づく総報酬月額相当額と、それに応じた老齢厚生年金が停止される老齢厚生年金の額(月額・年額)は図表3のとおりとなります。
図表3
例えば、時給1500円で1日8時間、月20日働いて残業と賞与が無しの場合は、総報酬月額相当額は24万円となります。
このとき、在職老齢年金制度によって老齢厚生年金の支給停止が始まる年金月額は26万円(=支給停止調整額50万円-総報酬月額相当額24万円)です。したがって、年金月額26万円を12倍した312万円が、支給停止が始まる老齢厚生年金額となります。