もうすぐ「65歳」になるので年金を受給予定です。現在「時給1500円」で働いていますが、月に「何時間」を超えると年金の受給額が減るのでしょうか?
老齢厚生年金の受給者が会社員として働き報酬を得ているとき、報酬と年金の合計が一定額を超えると、在職老齢年金制度により年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。   今回は、時給1500円で働く会社員を例に、在職老齢年金制度において年金が支給停止となる働き方と年金額について具体的に解説します。

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在職老齢年金制度とは

1. 制度の概要

在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受給している方が、厚生年金の被保険者として報酬を受けている場合、受給している老齢厚生年金の基本月額(加給年金を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額)と総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計額を12月で除した額を加えた額)に応じて、年金額が支給停止される制度です(※1)。
 
まず結論からいうと、時給1500円の会社員が法で認められた時間内で働く場合は、この在職老齢年金制度により年金が減る可能性は低いと考えられます。以下で詳しく説明していきます。
 

2. 支給停止額の計算方法

在職老齢年金の計算は、以下の手順で行います(※1)。
 
(1)基本月額と総報酬月額相当額との合計額が支給停止調整額以下であれば、年金は全額支給されます。
(2)基本月額と総報酬月額相当額との合計額が支給停止調整額を超える場合は、超えた額の半分が支給停止額となります。
 
令和6年度の支給停止調整額は50万円ですので、図表1のフロチャートのとおり計算されます。
 
図表1

 

3. 制度の適用範囲

(1)生年月日の要件を満たす人に65歳前から支給される特別支給の老齢厚生年金(※2)についても、同様の在職老齢年金制度が適用されます(※1)。

(2)厚生年金の被保険者は70歳未満に限られていますが、平成19年4月以降に70歳に達した方が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務する場合は、在職老齢年金制度が適用されます。
 
この際、「標準報酬月額」は「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額」は「標準賞与額に相当する額」として前述の計算式が用いられて年金額が算出されます(※1)。
 

時給1500円の会社員の総報酬月額相当額

1. 法定労働時間内で働いた場合の報酬月額