結論からいうと、今後さらに増額される可能性は十分にあります。特に築20年を超えたマンションでは、修繕積立金の見直しが頻繁に行われることが多く、以下のような要因でさらに値上がりするかもしれません。
1. 築30年前後の大規模修繕に備える
マンションの30~40年目には、エレベーターの交換、配管の更新、防水工事などの大規模な修繕が必要になります。このタイミングで多額の費用が必要となるため、今のうちに積立金を増額しておく管理組合も少なくありません。
2. 住民の高齢化と資金不足
築20年以上のマンションでは、住民の年齢層も高くなっていきます。その結果、資金負担が難しい世帯が増え、計画通りに修繕費が集まらないケースもあります。そのため、一時金の徴収を避けるために、早めに積立金を増額する方針をとる管理組合も多いのです。
3. 建築基準や設備の更新による影響
新しい耐震基準やバリアフリー改修、省エネ設備の導入など、時代とともに建物に求められる性能が変わります。
加えて、建築資材の価格や人件費、物流コストなどの上昇により、当初の計画では積立金で大規模修繕の費用が賄えない可能性があります。そのため、想定以上の修繕工事が必要となり、結果的に積立金が増えることがあります。
ただし、国土交通省は2024年2月に、修繕積立金の徴収額を段階的に引き上げる場合の増額幅を最大約1.8倍とする方針を示しました。この要件は、マンション管理適正化法に基づく管理計画認定制度にも盛り込まれる予定です。これにより、過度な値上げは抑制される見込みです。
修繕積立金の増額にどう備えるべきか?
修繕積立金の増額は避けられない場合が多いですが、事前に準備しておくことで負担を軽減できます。
1. 管理組合の長期修繕計画書を確認する
まず、管理組合が策定している長期修繕計画書を確認しましょう。そこには、今後の修繕予定や資金計画が記載されているため、どのタイミングでどのくらいの費用が必要になるのかが分かります。