現金であるタンス預金は、不動産や金融機関にある預金とは違い、存在を知らされていないと気づくのが遅れることも考えられます。気づいたときには、ほかの相続財産の遺産分割協議がすでに終わっていたということもあるかもしれません。
 
ただ、遺産分割協議が終わっていても、新たに見つかったタンス預金に関する遺産分割協議は必要です。基本的にはタンス預金についてのみ、改めて遺産分割協議をすればいいため、先に行っていた遺産分割協議をやり直さなくても問題はありません。タンス預金は現金であり分割も難しくないため、通常はタンス預金をどう分けるのかについて話し合えば大丈夫でしょう。
 
ただし、相続人全員の承諾を得た上で、従前の遺産分割協議を解除し、タンス預金を相続財産に加えた上で、改めて遺産分割協議をやり直すことも可能です。例えば、「そのタンス預金の存在を知っていたら、そんな遺産分割には応じなかった」と主張する相続人がいれば、最初からやり直す必要があるかもしれません。
 
今回のケースのような、200万円程度のタンス預金であれば、遺産分割協議のやり直しには至らないことのほうが多いかもしれません。しかし、いずれにしても、新たな相続財産が見つかった段階で、ほかの相続人に連絡し、どう対処するのか相談することが大切です。
 

相続税の申告が終わっていたら

相続財産が多く、相続税の申告が必要だった場合、タンス預金が見つかったときには申告が終わっていることがあるかもしれません。その場合は、改めてタンス預金を相続財産に含めた上での修正申告が必要です。
 
税務署の税務調査などで無申告が発覚した場合は、通常の相続税に加え、過少申告加算税や延滞税などを課される可能性があります。ただし、正当な理由があり指摘される前に修正申告をすれば、そのような事態は回避できる可能性が高いでしょう。いずれにしても、相続税申告後であっても、タンス預金など新たな相続財産に気が付いた場合は、速やかに修正申告することが大切です。
 

まとめ