「ふるさと納税」が始まって、はや10年。今では多くの人がその名を知る、身近な制度になりました。まだ利用したことがなくても、自治体から特産品がもらえるお得な制度、ということはご存じの方も多いのではないでしょうか。

メリットが多いこの制度ですが、知っておくべきデメリットもあります。思わぬ損をすることがないよう、きちんとチェックしておきましょう。

「ふるさと納税」は生まれ育った市区町村などに納税できるようにと始まった制度

(写真=PIXTA)

ふるさと納税は、「今住んでいる自治体でなくても、生まれ育ったふるさとに、自分の意思で納税できるように」という趣旨で始まった制度です。

自分で自治体を選んで納税(寄附)をすると、2,000円を超えた分については、その年の所得税から還付を受けたり、翌年の個人住民税から控除を受けたりできる仕組みになっています。例えば、5万円を寄附すると、48,000円分の税金が安くなるイメージです。

納税(寄附)を受けた自治体が、その金額に応じてお礼として色々な返礼品を用意するようになり、「実質2,000円で特産品のお米やお肉が手に入る!」と話題になったことから、人気に火が付きました。

「ふるさと納税」の3つのメリット

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返礼品がもらえる

ふるさと納税のメリットと聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、やはり返礼品がもらえることではないでしょうか。お米、お肉、魚介類、果物などの食べ物が人気ですが、伝統工芸品や旅行券・宿泊券なども用意されています。このように、返礼品のジャンルは多岐にわたります。

ずらっと並ぶ返礼品の一覧を眺めているだけでもワクワクしますし、好きなものを見つけて選ぶ時間は、普段のお買い物と同じように楽しいものです。

好きな自治体に、好きなタイミングで、好きな金額を寄附できる

生まれ育った故郷でなくても、お気に入りの街や応援したい地域など、寄附先は全国どこでも選ぶことができます。寄附は1年中受け付けているので、思い付いたタイミングで始められます。ただし、税金のメリットを最大限受けるためには、時期と金額を少し考えて選ぶ必要があります。

お金の使い道を指定することもできる

応援したいプロジェクトを選んで寄附すれば、「被災地復興の資金に」「未来ある子どもたちのために使ってほしい」などといった希望がかないます。自分が払った税金がどう使われて、どんな風に人の役に立っているのか、目で見てしっかり実感できることは、なかなかうれしいものです。

「ふるさと納税」の3つのデメリット

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税金控除上限額の確認や計算に手間がかかる

2,000円を超えた分がいくらでも控除されるわけではありません。1年間の控除上限額が決められていて、その金額は家族構成や年収などによって、一人ひとり違います。そのため、事前にふるさと納税サイトのシミュレーション機能を使うなどして、自分の控除上限額を確認しておくのが賢明でしょう。

例えば、年収400万円で独身の方なら、上限目安額は42,000円です。その金額を超えて寄附した分は、すべて自己負担になります。その年の1月1日から12月31日までの間で、この金額を超えないように意識して納税先を選んでいくとなると、少し手間かもしれません。

収入がない、もしくは少ないために、所得税・住民税を支払っていない方は、安くなる税金部分がそもそもありません。この場合、税金上のメリットは受けられませんので、注意しましょう。

確定申告などの手続きが必要

ふるさと納税をするときは、自治体を選んで返礼品を受け取るだけで終わりではなく、寄附した内容を「確定申告」で申請する必要があります。確定申告が不要な人で、寄附先の自治体が5ヵ所以内であれば、より手軽な「ワンストップ特例申請制度」という手続きも選べます。

自分が住んでいる自治体の収入が減ってしまうかも

ふるさと納税で寄附した人は、住んでいる自治体に払う住民税が軽減されます。そのため、住民が他の自治体に寄附する金額の方が、ふるさと納税で集めた寄附金額よりも多い場合、自治体の税収はダウンします。実際に、自治体間でふるさと納税による「税収格差」が生まれているといった報道もあります。

自分が住んでいる自治体がふるさと納税に積極的ではなかったり、なかなか寄附を集められない状況が続いたりすると、受けられる行政サービスのレベルが低下するリスクもないとは言えません。

ふるさと納税をお得に楽しむコツ

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もともとお得なふるさと納税ですが、さらにお得に利用したいなら「クレジットカード払い」ができるところを選ぶのも一つの方法です。寄附しながらクレジットカードのポイントを貯めることができ、振り込みの手間もかかりません。

加えて、楽天市場で「楽天ふるさと納税」を利用すれば、「楽天スーパーポイント」も貯めることができます。すでに貯まっているポイントを使って寄附をする、といった使い方もできますよ。

メリットとデメリットを把握して、ふるさと納税を楽しもう!

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ふるさと納税に限りませんが、せっかく良い制度があっても、その内容をきちんと理解していないと生かしきることができません。寄附してみたものの「思っていたのと違う!」なんてことにならないよう、メリットとデメリットをしっかり把握して、制度を賢く利用しましょう。

文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)

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