演劇部時代は寺山修司、別役実、野田秀樹などの演劇に触れ、とくに寺山修司の作品をこよなく愛する根っからの演劇好き。それは芝居にも活かされており、感覚だけではなく理論的に役作りに臨んでいる。出演映画も熊切和嘉監督の『658km、陽子の旅』や松居大悟監督の『不死身ラヴァーズ』など、映画ファンから信頼の厚い監督の作品に数多く出ているところに、俳優としてのこだわりを感じます」

現場ウケよく、NHKドラマとの相性も抜群

 見上の今後やブレイクの可能性について、前出の記者はこう展望する。

「普段から笑顔を絶やさないムードメーカーで、誰に対してもフレンドリー。スタッフも共演者も口をそろえて見上の愛すべきキャラクターを称賛しています。その一方、ストイックな役との向き合い方も高く評価されている。前述したとおり、芸術性の高い作品に出演しているが、そこに固執するのではなく、恋愛ドラマや話題性の高いドラマにも積極的に出演しており、そのかいあって着実に知名度が高まっています。

 NHKドラマとの相性も良く、注目を浴びるきっかけとなった『きれいのくに』(2021年)は、レギュラードラマで初めてメイン級のキャストを務めた作品で、自身でも女優として転機になったと語っている。昨年出演した大河ドラマ『光る君へ』で演じた藤原彰子も熱演、名演との呼び声が高かった。CMで見せる屈託のない表情は老若男女から愛される魅力にあふれており、朝ドラヒロインに抜擢された『風、薫る』では、さらなる飛躍が期待できるでしょう」

 演劇少女が女優としてデビューし、朝ドラでブレイクして国民的女優の座へと駆け上っていく、映画のようなシンデレラストーリーが期待できそうだ。

(文=佐藤勇馬)