中国では中流所得層の増加により、教育熱心な女性も増加

女性のMBA取得を促進する上で、女性がMBAを取得しやすい環境を提供することは必須となるだろう。トップ10に3校、トップ50に4校がランクインした中国のMBAコースは、その条件を満たしていることになる。

1位に輝いた上海交通大学安泰経済与管理学院国際MBAプログラムのディレクター、マンティン・ワング氏は、同校が「各生徒の需要に応じた柔軟性を提供している」点を挙げている。男性の生徒が仕事との両立を重視する一方、女性の生徒は家族と過ごす時間を重視するそうだ。

中国の女性のキャリアに対する意識も変化している。同国では若いうちに結婚し、家庭を持つことをよしとするが、それと同時に女性へのキャリアチャンスも豊富だという。

また上海交通大学安泰経済与管理学院のパートタイムコースでMBAを取得した女性のひとり、エイミー・ジン氏によると、中国では中流所得層の増加にともない、教育への関心が女性間で高まっている。

ジン氏自身はマーケティングからAI(人工知能)のような「より革新的な分野」へのキャリア転身を目指し、MBAを取得したそうだ。子どもがいるためパートタイムでの受講を選んだ。

中国トップMBAの平均所得はスタンフォードの6割、所得の低さが難点?

トップMBAの女性生徒の割合や所得を見てみよう。

まず女性生徒の割合に関して、上海交通大学安泰経済与管理学院は45%、香港大学は49%、中国人民大学は48%と圧倒的な高さを誇る。スタンフォード大学経営大学院、カリフォルニア大学ハース・ビジネススクールは各40%、ハーバード・ビジネススクールは42%。ほかの国際MBAランキングのトップ校—例えばInseadやロンドン・ビジネス・スクールは30%台と、かなりの差があることが分かる。

しかし所得となると話は別だ。上海交通大学安泰経済与管理学院や香港大学、ワシントン大学 オーリン・ビジネススクールでMBA取得後3年後の平均所得は12万ドル強と、スタンフォード大学経営大学院の6割にも満たない。わずか8万ドルの中国人民大学は、4割未満ということになる。

「女性のためのMBAランキング」中、最も高所得が期待できるのはスタンフォード大学経営大学院、カリフォルニア大学ハース・ビジネススクール、ペンシルベニア大学ウォートン校の3校だろう。

総合的に見て、やはり女性がMBA取得を目指す環境が整っているとはいい難い。今後様々な教育機関が環境整備に向け、取り組んでいくと期待したい。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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