フィナンシャルタイムズ紙が「女性のためのMBAトップ10」を発表した。先だって発表された「国際MBAランキング」から、女性の在学生および卒業生のデータを集計したもので、両ランキングの結果が大きく異なる点が興味深い。
女性が最も好成績を収めているMBAは上海交通大学安泰経済与管理学院で、香港大学、中国人民大学と中国から3校もトップ10入りしている。
中国のMBAのどのような点が、女性のMBA取得に有利なのか。果たして高額な受講費用を支払って取得する価値はあるのだろうか。
女性のためのMBAトップ10
10位(MBA総合ランキング順位22位) 南洋理工大学(シンガポール)
9位(3位) ペンシルベニア大学ウォートン校(米国)
8位(39位) 中国人民大学(中国)
7位(16位) ダートマス大学Tuckビジネススクール(米国)
6位(33位) 香港大学(中国)
5位(5位) ハーバード・ビジネススクール(米国)
4位(50位) ワシントン大学 オーリン・ビジネススクール(米国)
3位(10位) カリフォルニア大学ハース・ビジネススクール(米国)
2位(1位) スタンフォード大学経営大学院(米国)
1位(34位) 上海交通大学安泰経済与管理学院(中国)
MBA取得後も男女の所得格差は解消されない?
MBAを取得すれば、3年以内に所得が6桁に跳ね上がる—現時点では、こうした期待は必ずしも女性には該当しないようだ。フィナンシャルタイムズ紙の調査によると、例えトップ10校でMBAを所得した後でも女性は男性の所得の86%しか得ておらず、この数字は2014年からほとんど変動していない。
それに加え男女の所得格差が原因で、働きながら高額なMBAコース費用を貯める経済的ゆとりのある女性の割合は、男性よりもはるかに少ないと指摘されている。OECDが2016年に発表したデータ では、OECD加盟34カ国の男女所得格差は14.1%。日本は26.6%、韓国は36.6%、米国・英国は17%台など、16カ国で10%を超えている。
「苦心して学費を稼ぎMBAを取得しても、結局所得は男性より少ない」となれば、女性の向上意欲をそぐのも不思議ではない。
経営大学や企業が女性のキャリアを支援する目的で共同設立した非営利組織フォルテ・ファウンデーションのエクゼクティブ・ディレクター、エリッサ・エリス・サングスター氏は、「女性にとってはリターンの低い投資だ」とコメントしている。
こうした背景から、女性のMBA取得者数は伸び悩んでいる。2017年の2年全日制コースの応募者を女性が占める割合は40%。2013年から7ポイントしか伸びていない(非営利教育団体GMAC調査)。