「これは私の個人的な見方ではありますが、この問題で被害女性が怒りを感じているのは、中居さんよりもフジテレビに対してのほうが大きいと思うんです。少なくとも、中居さんとは『示談している』という動かしようのない事実がある。トラブル後のフジテレビの不十分な対応が彼女の絶望を大きくさせたように思えます。

 そうであれば、中居さんは会見で彼女に対して真摯に謝罪し、世の中やファンに対してもしっかり謝れば、引退以外の選択肢はあったでしょう。『芸能活動は支障なく続けられる』というのは、示談で被害女性も納得してのことだったわけでしょうから。この騒動でかなりミソをつけましたが、中居さんのMCとしての実力を高く買っている人は業界にたくさんいますし、会見を開いてちゃんと立ち回れば、結果は変わっていたでしょう」

A氏の嘆き「今までの芸能活動すらタブーに……」

 なぜ中居氏は会見を開かなかったのか。当初はテレビなどで芸能活動をそのまま続けるつもりだったのだから、人前に出たくないということではなかったはずだ。

 昨今の芸能界の流れに合わせたのか、人前にさらされることにデメリットを感じたのか、被害女性への配慮なのか。その理由は中居氏にしか分からず、今となっては確かめようもないが、A氏はため息交じりにこのように嘆いた。

「当然ながら性加害は許されることではありませんが、あれほどの実績を築いてきた人気タレントがあのような形で引退することになり、SMAP再結成の夢も完全に消え去って、多くの人を楽しませてきた今までの芸能活動すらすべてタブーのような扱いになってしまうのはあまりにも寂しい。だからこそ、もし中居さんが記者会見を開いていたら……と思ってしまいますね」

 連載企画の最終回となる次回のインタビューでは、記者会見がスターをつくり上げてきた芸能界のシステムと、中居氏の問題でもクローズアップされた業界の隠蔽体質を解き明かしていく。

(文=佐藤勇馬)