人間心理におけるリスク 落ちるナイフとは
株式投資の世界には多くの格言が存在している。その中でも「落ちるナイフを掴むな」という格言は株のリスクを表す言葉としてもっとも示唆に富んでいると言える。これはナイフが落ちている最中に無理に掴もうとすると思わぬ怪我をするということであり、ナイフが床に辿りついてから拾っても遅くはないという意味の言葉である。
株も同じで、下げ始めの頃はどうしても今のままでの上昇が頭の中にあるため、思わず株価が安くなっていると思って飛びつき買いをしてしまうという典型的な投資の負けパターンである。
人間心理(投資家心理)でアンカリング効果とも呼ばれているが、先に提示された高値を見ているとどうしても10%やそこらの下げで飛びつき買いをしてみたくなるものだ。しかし、それは株価下落の始まりとなる場合も多く、株価がいわゆる底をつくまでに多くの時間を要することにつながることもある。
リスク管理に必要な知識としてアンカリング効果などの投資家心理はぜひ覚えておきたいところだ。
ポジションサイズのリスク 信用取引は便利か?
現行の証券会社の制度だと、信用取引を利用することで証券会社に預け入れている資産の3倍程度の株を買うことが可能だ。これは言ってみればお金を借りて株の取引をするということであり、使用する際には高度な知識と豊富な経験が必要である。
現に口座開設後、信用取引を行うためには一定の審査が必要である。とはいえ、審査自体、自己申告のため使おうと思えば使える制度でもある。この信用取引だが、使い方を間違えると株取引におけるリスクが一気に膨らんでしまうのだ。
例を挙げてみよう。
ある企業の株式を100万円分購入したい場合、もし手持ちの資金が40万だったとしても信用取引による株式購入が可能である。
ただ、もし購入した株式の価格が20%下落した場合には、100万円の株式の価値が80万円になってしまうので、一気に20万円分の資金がなくなるということになる。
つまり元本の40万円のうち、半分が消し飛んでしまうことになるのだ。
ちなみに20%程度の株価下落は銘柄にもよるが日常茶飯事で起きているので、信用取引を利用するには銘柄選定の知識も必須である。株を買う量を調整しないと思わぬ大損失を生じさせてしまうことを覚えておいて欲しい。
株をやるなら心得ておきたい
株の利益があがると人間はどうしても強気になり、さらに利益を得ようとするものである。強気になるのでいつもはしない行動や自分のキャパシティーを超えた行為をすることもしばしばある。
しかし、株のリスクは突然やってくるもので、強気になった時にこそ注意しなくてはならない。
勝って兜の緒が緩んでいないか、それを確認しながら取引を続けていくことこそ株式投資のリスクにのまれないための秘訣と言えるのだ。
文・谷山歩(個人投資家)/ZUU online
【こちらの記事もおすすめ】
>1万円から始められる投資って?
>リスク許容度がわかる10のチェックリスト
>「おつり投資」「ポイント投資」って?
>楽ちん「投信つみたて」とは?
>投資のはじめの第一歩