数ヶ月前、日経平均株価が2万4000円台をつけ、株式市場がおおいに盛り上がっていたときに株をやってなかった人は「さぞかし株をやっている人は儲かっているんだろう」と思っていただろう。あるいは、これから株を始めようと考えていた人は「これだけ株が上がっているのだからきっと自分も儲かるにちがいない」と思っていたのではないだろうか。
結果はどうだろうか。米国の金利上昇をキッカケに2月は世界中の株式市場が下落を見せ、日経平均株価は3月8日終値時点で2万1368円となっている。
株で利益をあげるためには株価があがるだけでなく、損失をコントロールする力、すなはち「リスク管理」の知識が必要になる。ここでは株のリスクとはどんなシチュエーションで起きるのかなど、場面別にリスク管理について解説していくことにしよう。
いつでも付きまとうリスク 株価下落
株を買った場合のもっとも典型的なリスクが株価の値下がりのリスクだ。企業の株価は、世の中のお金の動き(為替)や個別企業の動向(売上や利益)といった要素に左右され、株価を上下させている。そのため、タイミング次第ではこれから値下がりをする前に株を買ってしまうこともしばしばあるのだ。
これは株をやる限りはどうしても付き合わなくてはならないリスクである。どんなに実力のある投資家も値下がりは確実に経験しているはずだ。問題は、その値下がりが生じたときの対処法である。
大きく分けて以下の3つに分けられるだろう。
- 戻るまで待つ(塩漬け株)
- 損失を受け入れてその株から離れる(損切り)
株を買い増しする(ナンピン) 初心者がやりがちなのが、1と3である。
1の場合、戻らなかった場合には損失リスクのみならず、時間のロス、他の投資機会を見逃す可能性がある。できれば避けたいところではある。ちなみに1で株価が戻らない状態にある株式を「塩漬け株」という。
3だが、こちらも初心者がやりがちなパターンで、通称ナンピンと呼ばれる。ナンピンは成功すれば損失がなくなるのみならず大きな利益をものにできるので、必ずしも悪ではないが、「下手なナンピン、スカンピン」という言葉があるように仕掛けるタイミングが難しい。
実は初心者がもっとも苦手とする2の「損を受け入れてその株から離れる」というのが、損失回避という意味合いでは、もっとも効率がよい投資の仕方と言える。多くの名だたる大物投資家も損切りの大切さには言及する人が多い。
必ず付きまとう値下がりリスクだが、ある程度の見積もりで損失を出すということは長期的に見れば「合計利益>合計損失」となる布石でもあるのだ。