日銀が2017年12月20日に発表した2017年7~9月の資金循環統計によると、家計が保有する2017年9月末時点の金融資産残高は、対前年比4.7%増の1,845億円となり、過去最高を更新した。株高、円安により保有資産の評価額が上昇したことも大きく影響している。

この統計から、日本人の金融資産は少しずつ増加していることが窺える。今回は、少し極端な例で「資産3億円だが収入ゼロ」の人と、「年収5,000万円だが資産ゼロ」の人、それぞれに求められる金融スキルについて考えてみよう。

ストックリッチとキャッシュフローリッチ

富裕層と一言でいっても、様々なタイプがあり、大きく「ストックリッチ」と「キャッシュフローリッチ」に分けることができる。前者は地主や代々の資産家のように潤沢なバランスシートを保有している人、後者は外資系バンカーや現役医師のように年収が高い人だ。なかにはストックリッチでありキャッシュフローリッチでもある人もいるが、多くの場合は、どちらかにセグメントできるのではないだろうか。

年齢が若ければ若いほどストックを貯める時間が限られているため、相続で大きな資産を受け取ったり、IPOで自社株評価が一気に上がったりするなどの特別な事情がない限り、若年層がストックリッチになるのは難しい。従って、ストックリッチとキャッシュフローリッチは一概に比較できるものではないが、もし、どちらかになれるとすると、あなたはどちらになりたいだろうか。

ストックリッチになりたい人 まず3億円の資産(この場合は現金と仮定する)を持っているが収入はゼロのケースを考えてみよう。

現時点の収入はゼロとはいえ、この現金3億円を3%運用できれば年間900万円、5%運用できれば1,500万円、10%運用できれば3,000万円の運用益を手にすることができる(税金は考慮せず)。

とはいえ日々の生活費もこのストックから賄う必要があり、運用結果は金融マーケットに左右されるため、マイナス運用になってしまう年もあるかもしれない。このケースは、既にある資産を安定的に殖やしていく金融スキルが特に問われるだろう。運用に加えて、自身が働き、日本人の平均年収ほどの労働所得(約400万円)を得れれば、生活は一気に安定する。