夫婦が離婚するとき「書類を1枚役所へ提出すれば終わり」というものではありません。条件によっては、手続きに伴って多大な時間と費用がかかることも珍しくないでしょう。離婚が成立したときには、経済的および精神的に疲弊してしまったという人も少なくありません。この記事では、離婚するのにかかる費用や時間についてまとめました。

日本の離婚事情

日本は先進国の中で比較的、離婚率が低い国の1つと言われています。厚生労働省の「平成28年 人口動態調査」によれば、2016年の日本の離婚率は1年間で人口1,000人あたり1.73人です。

日本の結婚・離婚件数の推移

同じく厚生労働省の「人口動態統計」から、婚姻件数と離婚件数の年次推移を見てみましょう。

婚姻件数は 1947年の時点で1年間に93万組余りでした。そこからは増減を繰り返しつつも基本的には増加傾向で、1970年には年間100万組を超えました。1975年以降は緩やかな減少に転じ、2017年ではおよそ61万組となっています。

一方、離婚件数は1947年にはおよそ8万組でした。それ以降は増加し続け、2002年にはおよそ29万組でピークを迎え、2017年時点では21万2,000組になっています。

離婚理由のランキング

2017年の「司法統計」によれば、家庭裁判所に調停を申し立てた男性が離婚を望む理由として最も多く挙げたのは「性格の不一致」、次が「精神的な虐待」、3番目が「家族や親族とのトラブル」となっています。同様に女性が離婚を望む理由も第1位は「性格の不一致」ですが、次は「生活費をもらえない」、3番目は「精神的な虐待」となっています。

離婚にかかる平均費用

協議離婚

夫婦のみで話し合いを行う協議離婚において、財産分与や養育費、慰謝料などについて記載した公正証書を作成する場合は、その費用が発生します。

公正証書の作成手数料は支払う費用の金額に応じており、100万円以下なら5,000円、5,000万円以上1億円未満であれば4万3,000円になります。ただし、弁護士に相談する場合は別途費用が発生します。

調停離婚

調停離婚の場合は、申し立てに際して戸籍謄本や印紙代などで平均7,000円から8,000円の費用が発生します。調停に際して弁護士のサポートを受ける場合は別途費用が必要です。

裁判離婚では、弁護士に依頼するための着手金として30万円程度を支払います。また、結審の時点で慰謝料などに対して10%から20%程度を成功報酬として支払うのが一般的です。

離婚にかかる平均期間

協議離婚であれば、財産分与や離婚協議書の作成、協議の法的な証明となる公正証書の作成などを含めて2、3ヵ月が平均的です。

一方で、家庭裁判所へ調停を求める調停離婚の場合は、申し立てから3回の調停までを含めて6ヵ月ほどかかります。調停が不調に終わり、裁判離婚となると少なくとも1年はかかると考えておくのがよいでしょう。

平均的な離婚にかかる費用の内訳

離婚手続きでは公正証書を始めとする書類の作成や裁判費用などとは別に、さまざまな支払いが発生します。

婚姻費用

婚姻費用は、申し立てをした時点から離婚が成立するまでの間、夫婦で収入の多い側が配偶者の生活を支えるために支払う費用のことです。「司法統計」(2017年度)によれば月額6万円から15万円を支払ったケースが約7割を占めています。

養育費

離婚後には、子どもと同居しない親が子どもを育てるためにかかる費用を、子どもと同居する親に支払います。これが養育費で、厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子世帯では月額で平均4万3,707円円を受け取っています。

慰謝料

慰謝料は、不貞や暴力などが原因で離婚に至った場合に、精神的苦痛を賠償するため支払うものです。慰謝料は離婚原因や資力など多くの要素を加味して算定されます。慰謝料として100万円~300万円ほどを支払うケースが多いようですが、それぞれの事情によって金額は異なります。

弁護士費用

弁護士に相談をする場合は1回あたり30分で5,000円が相場となっています。調停離婚になった場合、着手金として30万円前後を支払い、調査費用と日当を負担する必要もあります。

加えて離婚が成立した時点で、成功報酬として慰謝料や財産分与の額に対して10%から20%を支払うことが多いようです。これらの費用は弁護士事務所によって異なるので、事前に問い合わせるほうがよいでしょう。