再建築不可やセットバックが必要な不動産の数

総務省統計局では5年ごとに住宅・土地統計調査を行っているが、最新の「平成25年住宅・土地統計調査結果」によると住宅の敷地の接道状況は次のとおりだ。

調査総数 ……5210万2200件
敷地が道路に接していない ……103万6700件(全体の約2%)
敷地が幅員2メートル未満の道路に接している ……231万6400件(全体の約4.4)
敷地が幅員2メートル以上~4メートル未満の道路に接している ……1353万7500件(全体の約26%)

敷地が道路に接していない場合は再建築不可で、全体の約2%ある。敷地か幅員4メートル未満の道路に接する場合はセットバックが必要な可能性が高く、全体の約30%ある。これに加えらの敷地が2メートル以上接道していなければ再建築不可だ。

この数字からわかるように、再建築不可な物件やセットバックが必要な建築制限のある物件が数多く市場に流通している。

再建築不可やセットバックが必要な不動産の利用方法

再建築不可やセットバックが必要な不動産を購入して利用するには3つの方法がある。建築基準法をクリアするか、建築基準法に従って再建築するか、建築確認が不要な範囲で建物をリフォームして利用するかだ。

まず建築基準法の接道条件をクリアする場合は、建築基準法上の道路に2メートル以上接道するように周辺の用地も一緒に購入すればよい。具体的には袋地と呼ばれる道路に接していない土地は道路まで通行できるように土地を購入するか、2メートル未満の場合は2メートル以上接道するよう周辺用地を購入するかだ。

次に2項道路に接していれば、道路の中心線から2メートルまたは3メートル以上セットバックすれば再建築できる。

最後に、建築確認が不要な範囲でリフォームする方法がある。再建築不可やセットバックが必要な不動産でも、既存建物は建築確認が不要な範囲であればリフォームができるのだ。具体的に、建築確認が必要な場合について以下に説明する。

建築確認が必要となるのは新築、増改築・移転、大規模修繕・大規模模様替えや用途変更を行う場合で、建築物の種類により建築確認の要否が異なる。ここで、改築とは元々あった建物のすべてまたは一部を取り壊して建築し直すことで、移転とは同一敷地内で建築物を移動することを意味する。大規模修繕とは主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根又は階段)の1種以上の過半を修繕することをいい、主要構造部の1種以上の過半を模様替えすることを指す。

建築基準法では特殊建築物と大規模建築物、そしてその他の一般建築物建築確認で建築確認が必要な封建が異なる。

まず劇場や映画館・病院・学校などの特殊建築物で、その用途に使用する部分の床面積の合計が100平米を超えるものは、新築、増改築・移転、大規模修繕・大規模模様替えや用途変更を行う場合、建築確認が必要だ。

次に大規模建築物の場合は、新築、増改築・移転、大規模修繕・大規模模様替え行う場合に建築確認が必要だ。ここで大規模建築物は木造と非木造で定義が異なる。木造の場合は階数が3階以上で延べ床面積が500平米を超え、高さが13メートルを超えて軒の高さが9メートルを超えるものである。非木造では、階数が2階以上で延べ床面積が200平米を超えるものだ。

その他の一般建築物は、都市計画区域内または準都市計画区域内での新築か増改築・移転の場合に建築確認が必要となる。大規模建築物にあたらない戸建て住宅はこれに該当し、大規模修繕・大規模模様替えもできるのである。