――フォークダンスDE成子坂といえば、2006年に35歳で急逝した村田さんと、2019年に48歳で亡くなった桶田さん、それぞれが天才として今日まで芸人たちの間で語り継がれている印象です。
藤井 いずれ、そのような人たちに話を聞く連載を、どこかの雑誌でやらせてもらえないかと思っていたんです。ただ、企画として出版社や雑誌に持ち込むまではいきませんでした。
――もともと、温めてはいたんですね。
藤井 そして、YouTubeがあまりに伸び悩んでいたときに、「辞めた芸人に話を聴こう」をやろうと思ったのです。第1回は「R-1ぐらんぷり」のファイナリストであり、今は構成作家をやっている仲良しの大輪教授に出てもらいました。
――2007年、なたぎ武さんが初優勝した年のR-1ぐらんぷりですね。当時はまだ夕方に放送されていました。
藤井 そうですね。聞いてみたら、やっぱり話が面白い。周囲からの評判も良かったため、「これはイケる」と確信しました。そして、第2回には元・エレファントジョンのガッテン森枝に出てもらったんです。
――エレファントジョンは「THE MANZAI」の認定漫才師に3年連続で選ばれてますよね。
藤井 ただ、このタイミングで新型コロナウイルス感染症が世界的に流行。みんなと対面で会うことができなくなってしまいました。第3回をどうやって行うか考えていたところ、Zoomという選択肢が登場したんです。オンライン通話が一般化したおかげで、地方に住んでいる芸人にも出てもらえるなど、インタビュー相手の幅は広がりました。
『ボキャブラ』が仇に? ブラックパイナーSOSの悲劇
――そこから、現在まで続いているこのシリーズですが、とにかく明るい安村さんの相方だった元・アームストロングのくり(栗山直人)さん、なにわのオバハンキャラ「すち子」で知られる吉本新喜劇の座長・すっちーさんとコンビを組んでいた元・ビッキーズの木部信彦さん、そして「M-1グランプリ」の初代準優勝者である元・ハリガネロックのおおうえくにひろ(大上邦博)さんなど、人選が絶妙です。