制度のメリットは?
メリット1:手続き支援は無料
手続きの際に必要な金融機関への書類提出や協議、簡易裁判所への特定調停の申し立てなどに関する手続きについて、無料で弁護士などの「登録支援専門家」に依頼することができます。
メリット2:財産の一部を手元に残せる
被災状況や生活状況などの個別事情により異なりますが、自己資産のうち最大で500万円と保険金や義援金で受け取った金額を手元に残すことができるため当面の生活を維持することが可能です。
メリット3:自己破産にならない
調停によりローン(債務)を免除されると聞くと「自己破産」につながり、いわゆるブラックリストにのるのではないかと心配する方もいるでしょう。まして「自己破産」となると、住宅再建や事業継続に支障をきたす恐れがあります。
しかし、この制度では債務整理をしたことが個人信用情報として登録されないため自己破産とはなりません。ですから、新たな住宅ローンを組んだり、個人事業としての資金の借り入れをしたりすることができ、生活再建への大きな一歩につながるでしょう。
どんな人が対象?どんなときに受けられるの?
このガイドラインに沿って申し出をできるのは次のような場合です。
- 2015年9月2日以降に起きた自然災害で「災害救助法」が適用されている。
- 住居や勤務先、事業所などが災害で影響を受けている。
- 上記の理由により、ローン(債務)の返済ができなくなった、あるいは近い将来返済できなくなる見通しがある。
記憶に新しいところでは、「2018年7月豪雨による災害」「2018年大阪府北部を震源とする地震」が災害救助法の適用を受けています。
手続きはどうすればいいの?
具体的な手続きの流れは以下のようになります。
1.手続きの申し出
住宅ローンの借り入れ先金融機関(複数のローンがある場合には最も金額の多いローンの借り入れ先)にガイドラインによる手続きを希望することを申し出て、同意を得ます。
2.手続き支援の依頼
弁護士会などを通じてガイドラインの運営機関に「登録支援専門家」による手続き支援を依頼します。
3.登録支援専門家の支援を受けながら手続きを進める
- 金融機関に債務整理を申し出て、必要書類を提出します。
※申し出後、債務の返済や督促は一時停止となる - 金融機関と協議しながら債務整理の内容を盛り込んだ書類を作成
- 登録支援専門家から金融機関へ作成した書類を提出、説明する
全ての借り入れ先から同意が得られたら簡易裁判所へ特定調停の申し立てをする これらの流れを専門家の方と一緒に進めることができます。
4.内容の確定
調停手続きにより内容が確定すれば債務整理の成立となります。
書類の作成や調停の申し立てなど難しそうと思うかもしれませんが、金融機関に手続きの申し出をした後は専門家が無料で支援してくれます。当事者として誠実にありのままの現状を説明し、専門家に寄り添ってもらうことが再建への扉を開ける鍵と考えてみてはいかがでしょうか。