日本を次々に襲っている自然災害。
過去には東日本大震災、そして先日起きた北海道地震、西日本豪雨、そして台風や大雪などさまざまなニュースを騒がせています。
行政や関係機関は大規模災害に伴う個人の生活再建がスムーズに進まない原因を調べ、必要な支援を新たに整えています。
しかし自分たちがもしそのような被害にあったら、また実際に災害にあう前も知識として抑えておきたい「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」について分かりやすく解説しましょう。
未だに避難所で過ごしている方へ、少しでもこの記事が役に立てば幸いです。
いつできた制度?
2011年3月11日に発生した「東日本大震災」では全壊した住宅が13万棟に及んでいました。
このとき、新たな住宅再建と被災した住宅との2重ローンが復興を進めるうえで大きな課題となりました。
その課題を解決するための政府の方針を受け、被災者の皆さんと金融機関の話し合いによって借り入れの減額や免除を行うためのルールが「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」という形で作られました。
その後、度重なる自然災害を受け2015年12月に一般社団法人全国銀行協会を事務局とした研究会が「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」としてまとめ、2016年4月1日より自然災害全般に対象を拡大して運用が始まりました。
制度の概要は?
この制度は、被災者がローン(債権)の返済が困難になった場合でも、破産という道をたどらずに生活・事業の再建をすることで、被災地の復興と再活性化につなげることを目的としています。
地域全体の復興を通して、金融機関にとっても長期視点でのメリットが得られるものとなっています。
返済が困難になることが見込まれる被災者に対して、家計全体でのローン(債務)整理をするというもので、再建に必要な手元のお金を除いてできる限りの返済をし、返済しきれなかったローン(債務)が免除されるという仕組みです。
対象は、住宅ローンに限らず自動車ローンや事業のために借り入れたローンなど被災者に関わる全ての債務。
まとめて整理できるので、再建のめどが立てやすいという特徴があります。
できる限りの返済といっても、生活再建に支障をきたさないような状況を作るための配慮がされていますので、次からご説明します。