サンリオの今後の株価を動かす要因   

(写真=Kathy Hutchins / Shutterstock.com)

先ほどから述べている通り、この数年、サンリオは業績がさえません2014年3月期にたたき出した経常利益201億円をピークに、2015年3月期は同185億円、2016年3月期は同131億円、2017年3月期は同72億円。

2018年5月発表の決算によると、3月期の連結経常利益は60.2億円、2019年3月期も前期比10.3%減の54億円に減る見通しとなりました。5期連続減益で、好調だった2014年の1/3以下にまで低迷しています。

低迷する業績、その要因は?

なぜこのような業績不振が続いているのでしょうか。

サンリオの事業には、物販とライセンスという大きく2つの柱があります。元はハローキティなどのキャラクター商品を直営店舗で販売することで成長してきた企業です。

しかしライセンスビジネスへの方向転換を打ち出し、2008年から本格的な海外展開を進めていきます。現地の人気メーカーや流通大手と組んだライセンスビジネスは大成功し、H&Mやザラといった世界的なファストファッション企業とのライセンス契約でも売り上げを伸ばしました。

歌手のレディー・ガガさんをはじめ、著名人がこぞってキティちゃんの熱狂的ファンを公言していることも、知名度を高めている一因でしょう。

このように、収益拡大の牽引役として総売上高の約4割を占めるまでに成長した海外事業ですが、ここ数年、急減速を見せています。欧州の経済危機による消費の低迷に加え、『アナと雪の女王』などのディスニーキャラやその他の新しいキャラクターに押され続けていることが減益の要因です。

今後の巻き返しはある?

その一方で、欧米とは対照的に、中国を中心にアジアのライセンス収入は緩やかながら拡大していて、明るい兆しも見えています。

サンリオは5月に、2021年3月期を最終年とする中期経営計画で、3年後の営業利益を100億円(2018年3月期実績49億2800万円)に引き上げるという高い目標を発表しました。それを支えるものとして打ち出されたのが、

  • マーケティング強化・再整備
  • アニメ・デジタル事業確立
  • 物販事業の再構築
  • ライセンス事業の見直し という4つ基本戦略です。

    なかでも、マーケティング強化の一つとして「ハローキティ再活性化」を掲げ、子どもが初めて触れるキャラクターとなるべく乳幼児向けを強化するとのこと。さらに、ハローキティだけに頼らない、セカンドキャラクター育成にも力を入れるとしています。

    また、キャラクターごとの部門別貢献利益(粗利-広告宣伝費)をKPI(重要業績評価指標)として設定しているのも興味深いですね。中期経営計画で示された基本戦略はいずれも、低下したサンリオブランド力の回復を目指す取り組みでした。来期の業績がどうなるのか楽しみです。

    では、今後のテーマパーク事業はどうでしょうか。

    屋内型のテーマパーク「ピューロランド」は、2017年度単体で黒字転換しました。

    全国的に猛暑だった今夏も、暑さをしのぎつつ楽しめることで、小さい子ども連れ来場者の増加が期待できそうです。

    夏場は猛暑関連銘柄の株価上昇が要注目ですが、実際、サンリオも8月に入って一時期2400円近くまでの値上がりを見せました。