(本記事は、小池修氏の著書『日本一社員が辞めない会社』ぱる出版、2018年3月10日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

全社員との年4回の社長面談でわかった社員のホンネ

今でこそ社員の定着率が上がり、安定しましたが、創業当時は社員定着率がなかなか上がらず、本当に苦戦しました。

そこで、創業3年目のころから、3か月に1回のペースで、すべての社員と30分程度の面談を行うようにしました。

この面談を通して、私は社員が辞める本当の理由がわかったのです。

その理由は、家庭の事情を除けば、だいたい次の3つに集約されます。

(1)(有給)休暇が取れない
(2)嫌いな人(上司)がいて、認めてもらえない
(3)自分の将来が見えない

実際、当社の社員の中にも、これらの理由で辞めていった人がたくさんいました。したがって、離職者を減らし、定着率を上げていくためには、これらの問題を早急に改善していく必要があるといえるでしょう。

今の若者たちは(有給)休暇が取れるのが当たり前

私の若いころは、有給休暇はあったけれども使わないのが当たり前でした。

しかし、今は時代が変わり、有給休暇は当然の権利なのだから、取れるのが当たり前。取れないなんてあり得ないという感覚になっています。

つまり、有給休暇を取らさないとブラック企業と言われることにもなりかねないのが、今の時代なのです。

私の感覚では、先に挙げた3つの退職理由のうち、休暇を取りたい時に、(有給)休暇が取れないことが、今の社員にとって、最もネックになっていることの一つではないかと思っています。

したがって、まずは休みの問題を何とかすることが、会社にとっては先決課題といえるでしょう。

そうしなければ、いくらほかの手を打ったところで、まるで底に穴の開いたバケツに水を注いでいるかのように、いくら人を採用しても、どんどん辞めていってしまうのです。

職場の人間関係は退職の大きな引き金になる

転職サイトの「リクナビNEXT」が、転職経験者に「退職理由の本音とタテマエ」を聞いたおもしろいアンケート結果があります。

それによると、退職理由の本音のトップ3は次のようになっています。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)

このようにトップ3に人間関係に関することが2つもランクインしていることからもわかるように、職場の人間関係に対する不満は、社員にとって非常に深刻な問題なのです。

大企業のように、定期的な人事異動で上司が代わるような職場であれば、それまでの辛抱ということで我慢できるかもしれませんが、上司を含めた職場のメンバーが変わることが少ない小さな会社の場合は、そのストレスは非常に大きく、辞めたくなるのも無理はないといえるでしょう。

したがって、社員の定着率を上げるためには、小さな会社ほど職場の人間関係の改善に社長自らが取り組まなければいけません。放っておけば自然に解決するような問題ではないからです。

社員は会社の将来より自分の将来が大事(当たり前!)

「このまま今の会社にいても、明るい未来が見えない」、「この会社にいたら、自分のやりたいことができない」といった理由で辞めていった社員も、過去に何人かいました。

このような理由で辞めていく社員は、どちらかというと優秀な社員であることが多いので、会社にとってはダメージが大きくなります。

ですので、会社としては、こういう人財の流出はできるだけ避けたいところです。

では、優秀な人財を流出させないためにはどうすればいいのか?

かつて私がサラリーマンをしていたころは、「会社のために働く」という考え方の人が何人かはいたものですが、今はほとんど見かけなくなりました。

特に今は時代が変わり(昔もそうだったかもしれません)、若い人たちは、会社の将来より、自分の将来を一番に考えます。

したがって、優秀な人財の流出を防ぐには、会社のビジョンと社員の夢のベクトルを一致させることです。

夢のベクトルを合わせることは、優秀な社員の定着率を上げる効果的な方法であることは確かです。

実際、当社の社員の中にも、この方法によって退職を思いとどまって、活き活き働いている社員が何人もいますので、その効果は実証済みといえるでしょう。