個人投資家が税制優遇を受けながら投資できるNISA。2014年に始まったものの、NISAについて良く知らないという人も多いのが現状だ。NISAとはどんな制度なのか、メリットやデメリット、投資の始め方などを確認しよう。
NISAとはこんな制度
NISAとは、個人投資家向けの税制優遇制度のこと。イギリスで導入されているISAをモデルとしており、日本版ISA(Nippon Individual Savings Account)という名称がつけられた。
そもそも、株式や投資信託などの金融商品に投資・運用を行い得た利益には、他の収入と同じように税金がかかる。売却益や配当金に対して課される税率は約20%だ。しかし、NISA口座で投資・運用を行った利益は非課税となる。これがNISAのメリットだ。
非課税対象となるのはNISA専用口座で投資・運用を行った場合で、新規投資額で毎年120万円が上限だ。未使用分があっても翌年以降への繰り越しはできない。今年上限120万円を投資しても、翌年には新たに120万円まで投資できる。NISA口座は一人1口座まで開設できる。
NISAが導入されたのは2014年のこと。日本では個人資産を形成するには、銀行に預けて利息を貰うという形が一般的だった。しかし、超低金利が続き、利息で資産を増やすことは難しくなった。そこで、国が新しい価値観として広めたいと考えているのが、資産を「運用する」ことだ。そこで、個人投資家が行う少額投資に対しての税制優遇措置をとることで、資産運用に対するハードルを下げることを目的としている。
2018年3月末時点でのNISA口座数は、一般とつみたてを合わせて1,167万9,355口座。総買い付け額は13兆9,398億9,223万円となっている。2014年1月時点の口座数492万口座と比較すると、倍以上となっている。
NISAは実は期間限定で、2018年時点では2023年までの制度とされている。金融商品の購入を行えるのも2023年までなので、始めるつもりがあるなら早いほうがいい。
NISA口座で非課税となる利益とは
NISA口座で非課税となるのは、購入した株式や投資信託を売却したときの売却益や、保有している株式で得た配当金だ。どちらもNISA口座で投資を行ってから5年間で得たものが非課税対象となる。
例えば2018年にNISA口座で株式を購入したとする。2018年から2023年の間にこの株を売却して得た売却益は、非課税対象だ。しかし、2024年以降に売却して得た売却益は課税対象となり、約20%の税金を支払う必要が出てくる。
配当も同じく、2018年に購入した株式から得た配当金は、2018年から2023年の5年間は非課税対象となる。しかし、2024年以降は課税対象だ。
非課税投資枠の取扱い
非課税対象となる5年が過ぎたらどうすればいいのだろうか。その場合、3つの方法がある。まずは翌年の非課税投資枠に移すこと。非課税期間が終わった金融商品を、翌年の非課税投資枠に移すことでさらに5年間非課税対象とすることができる。これをロールオーバーという。ロールオーバーが可能な金額には上限がなく、金融商品の価値が購入時よりも上がり、時価が120万円を超過している場合でも、そのすべてをロールオーバーして翌年の非課税投資枠に移すことができる。
もし残高が120万円よりも低かった場合は、翌年の非課税投資枠120万円から残高を差し引いた額が、翌年新たに投資できる額となる。高い配当が期待できる金融商品など引き続き保有したい金融商品は、こちらを選ぶといいだろう。
次の方法として挙げられるのが課税口座に移すこと。課税口座に金融商品を移し、他の投資商品と同様に課税を受ける。翌年の非課税投資枠は全額投資できるため、違う金融商品に投資をしたい場合はこちらがよい。
非課税期間が終了する前に売却するのも手だ。購入時よりも株価が上がっており売却益が見込める場合なら、非課税期間終了前に売却して利益を確定しておくのもいいだろう。