不動産を相続したくない場合には、次のような方法があります。
 

遺産分割協議で他の相続人に相続してもらう

遺産分割協議を通じて、相続したくない不動産を他の相続人に相続してもらうことが可能です。相続人全員の同意が必要ですが、都市部と田舎の不動産を分けて相続するなどの提案も可能です。
 

相続土地国庫帰属制度の活用

不要な土地を相続した場合、この制度を利用して国庫に帰属させることができます。ただし、建物のある土地には適用できず、登記費用や測量費用がかかることもあります。この制度を利用する際は、最寄りの法務局または地方法務局に相談することをおすすめします。
 

一度相続してから不動産を売却する

不動産を相続後に売却する方法もあります。市場価値に応じた適正な売却価格を設定することが重要ですが、売却には時間がかかることもあるため、計画的に進める必要があります。
 

実家相続放棄の主な理由はコストと負担

一般社団法人あんしん解体業者認定協会が運営する「解体無料見積ガイド」は、実家の相続を放棄したいと考えている201人を対象にアンケート調査を実施しました。調査結果の中から、実家の相続を放棄したい理由は表1の通りです。
 
表1

実家の相続を放棄したい理由 人数
相続・相続後にコストがかかる 43人
資産価値が低い 39人
管理が難しい 28人
相続手続きが面倒 27人
住むつもりがない 23人
家族と疎遠・関わりたくない 22人
兄弟・親族間で揉めたくない 21人
借金がある・ありそう 19人

出典:一般社団法人あんしん解体業者認定協会「実家の相続に関する意識調査」より筆者作成
 
実家の相続放棄を考えている人々の多くが、相続に伴うコストや負担に対して懸念を抱えているようです。中でも「相続・相続後にコストがかかる」という理由が最も多く挙げられていることから、相続にかかる費用が放棄を決断させる決め手になっていることが分かりました。
 

遺産の「一部放棄」は法律上認められていません