年金額が月10万円に満たないときは、働く以外に繰下げ受給制度の利用も検討しましょう。繰下げ受給では、年金を受け取るタイミングを繰り下げた月数によって、受給額の割合を増やせる制度です。
 
日本年金機構によると、増額する割合は「0.7%×65歳に達した月から繰り下げを申請した前の月までの月数」で求められます。例えば、66歳0ヶ月に申請をしたとすると、受け取れるのは「0.7%×12ヶ月」で8.4%増額した金額です。
 
繰下げ受給では、最大84%、75歳0ヶ月まで受給タイミングを遅らせられます。もし、年金が月8万円の方が75歳0ヶ月まで繰り下げると、受け取れる金額は「8万円×184%」で14万7200円です。
 

年金以外の資金作りも大切

老後の生活費は、おもに年金と貯蓄から支出します。少しでも、ゆとりある老後の生活を送りたいなら、年金額を増やすだけでなく資金作りも大切です。年金を受け取り始める時点で、いくらくらい貯蓄をしておきたいのか決めておきましょう。
 
特に、退職後に必要な生活費は把握しておく必要があります。総務省統計局が公開している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、令和5年度時点で夫婦高齢者無職世帯の平均消費支出は月25万959円、非消費支出は月3万1538円でした。
 
もし、平均額通りだとすると、月に28万2497円、年338万9964円を夫婦の収入もしくは貯蓄で補わなければなりません。
 
仮に、収入が年金だけで年金を月に10万円受け取っており、夫が年金を月に15万円受け取っていたとしても、月に3万2497円分、年換算で38万9964円は貯蓄からの支出が必要です。
 
平均支出も基に、夫婦で老後の資金作りについて相談した方がよいでしょう。必要に応じて、年金受給開始後もパート勤務などで働けば、継続的な資金作りも可能です。
 

パートだけでは難しい可能性があるため繰下げ受給なども検討する