本の中には23人の目撃者がいるとされる。中には、ネグリジェ姿のリンダが宙に浮いているのを見たという証言もあった。しかし、目撃者は実名で表記されておらず、当然ではあるが信ぴょう性に劣っていた。
それでもリンダとバドはメディアの注目を浴びた。テレビのワイドショーや雑誌は「宇宙人による拉致問題」を取り上げ、リンダはスターのように扱われた。
一方、バドの元妻で映画製作者のキャロル・レイニーはリンダの証言は真っ赤なウソだと主張し、証言の矛盾などを映像に残していた。
リンダらが損害賠償と配信の中止を求めNetflixを提訴
リンダは現在、77歳。テネシー州ソディ・デイジーに住む。ドキュメンタリー取材班は改めてリンダを長時間にわたってインタビューした。2023年に死去したキャロルにもインタビューし、2011年に死去したバドが残した膨大な映像などを交えてリンダの証言や当時のバドの調査の様子、メディアの騒動ぶりを検証している。当然、リンダの証言に疑問を呈する内容がかなりの部分を占めている。
リンダとバドの遺産相続人は配信が始まる2日前、「名誉を傷つけられた」などとして損害賠償と配信の中止を求めNetflixを提訴した。リンダは「論争と対立を目的とした悪役として自分が設定されており、明らかに虚偽の描写だ」と強く非難している。Netflix側は現時点でコメントしていない。
未知の世界にいざなうはずの「UFOもの」が、一転して法廷という超現実的な舞台にさらされることになり、米国メディアは大喜び。NBCなど大手ネットワークのニュースでも裁判騒動が報じられるなど、リンダは再び「時の人」となっている。