もし母親が父親の遺族年金を受け取っていても、所得条件には加算されません。国税庁によると、遺族年金や遺族恩給は原則として所得税や相続税の課税対象外です。
 
そのため、母親が遺族年金を受け取りながら働いているときは、働いて得た年収のみを基に、扶養親族の判断がなされます。
 
老齢基礎年金や老齢厚生年金など、通常の年金は課税対象です。
 

親を扶養に入れると子どもの税額負担はどれくらい変わる?

今回は、母親が一般扶養親族、老人扶養親族(同居老親等以外)、同居老親等だった場合に子どもの税額がどれくらい変わるのか比較しましょう。条件は以下の通りです。

●子どもは東京都在住40代
●年収600万円
●賞与は考慮しない
●控除は給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除、扶養控除のみ
●加入している保険は協会けんぽ(全国健康保険協会)
●住民税率は基準値
●母親は専業主婦
●母親以外の扶養親族はいない

年収が600万円のとき、今回の条件だと月収は50万円です。月収を基に計算される社会保険料は以下のようになります。

●健康保険料(介護保険料込み):年額34万7400円
●厚生年金保険料:年額54万9000円
●雇用保険料:年額3万6000円
●社会保険料合計額:年額93万2400円

また、国税庁によると、給与所得控除は「600万円×20%+44万円」で求められ、164万円です。社会保険料控除と給与所得控除を基にした税額は表1のようになります。
 
表1

扶養親族なし 母親が一般扶養親族 母親が老人扶養親族(同居老親等以外) 母親が同居老親等
(給与所得-給与所得控除)-社会保険料控除 342万7600円
所得税扶養控除額 0円 38万円 48万円 58万円
所得税基礎控除額 48万円
所得税の課税金額(1000円未満端数切り捨て) 294万7000円 256万7000円 246万7000円 236万7000円
所得税率、控除額 10%、9万7500円
所得税額 19万7200円 15万9200円 14万9200円 13万9200円
住民税扶養控除額 0円 33万円 38万円 45万円
住民税基礎控除額 43万円
住民税の課税金額 299万7600円 266万7600円 261万7600円 254万7600円
住民税率と住民税均等割額 10%+5000円
住民税額 30万4760円 27万1760円 26万6760円 25万9760円
所得税額+住民税額 50万1960円 43万960円 41万5960円 39万8960円