「年収の壁」は、税制上であれ、社会保険上であれ、多く働いたことにより負担が生じることから、手取り収入に「年収の壁を超えないほうが手取りは多い」という逆転現象が起こり得ます。また、扶養から外れたことにより、配偶者が勤務先から支給される手当がなくなるというケースも見られます。
 
こうした状況から、これまで通り扶養範囲内での働き方のコントロールも選択肢の一つですが、全体として家計収入を増やす、将来の年金額を増やす手段として、扶養から外れる働き方は選択肢として有効です。決して「働き損」ではないはずです。
 
「壁」を気にせず働くと決めた場合には、社会保険料や税金を差し引いた後の手取り額を試算し、必要な生活費や貯蓄目標から逆算して考えることをおすすめします。
 
現状と変わらない手取り収入で生活を維持するのか、手取りを増やし、より豊かな生活を送ることを目指すのかといった視点で働く時間や収入額の目標を立ててみましょう。
 
子育て世代などは、働き方を制限することも、実質的に「壁」を超えて働くのが困難な場合も当然にあります。いずれにしても、5年後・10年後・20年後など長期的に考えてみることです。
 
無理のない範囲で、今できることに注力しつつ、働く目的や体力、スキル、家庭の状況に合わせて、長期的視野で配偶者としっかり話し合うことが大切です。また、時間を見つけて、キャリアアップの資格取得なども有効です。
 
税制や社会保険制度の動向についても、引き続き、アンテナを張っていきましょう。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP®認定者・相続診断士

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