明らかにされる韓国が国内に設けた米軍向け慰安所
そんな山口、杉田の両氏とネット右翼が喜びそうな記事が今年5月3日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ(NYタイムズ)」の一面に大々的に報じられた。 我々日本人は、「慰安婦」というと普通、第二次世界大戦中に日本軍によって「慰安婦」にされた韓国人やその他のアジアの女性を頭に思い浮かべるが、記事は、「1945年に日本の植民地支配が終わった後も、韓国では別の女性グループに対する性的搾取がずっと続いていた。そして、それは自国の政府によって推し進められた」と、韓国軍兵士のための「特別慰安婦部隊」や、朝鮮戦争(1950~53年)中のアメリカ主導の国連軍のための「慰安所」が韓国政府主導のもと設けられたことを明らかにした。朝鮮戦争後、彼女たちの多くが米軍基地周辺に作られた「基地村(キジチョン)」で引き続き、慰安婦として働いた。
執筆したNYタイムズ、ソウル支局長のチェ・サンフン氏は今回の記事執筆にあたり、基地村で働いていた6人の元慰安婦にインタビューした。その中の一人、チョ・スンオクさんは1977年当時、17歳だった。将来、バレリーナになることを夢見ていたがある日、3人の男に突如拉致され、ソウルの北にある東豆川(トンドゥチョン)の売春斡旋業者(ヒモ)に売られた。バレリーナになる夢を追う代わりに、ヒモに常に監視されながら、近くのクラブに通い、米兵相手に性行為を5年間続ける。
同記事によると、韓国の最高裁は2022年9月、チョさんのように性的被害を受けた女性100人に対し、基地村における性売買の運営、管理に対する国家責任と女性たちへの人権侵害を認めた。それでも、元慰安婦に支払われる賠償額は約2270(約32万8000円)~5300米ドル(約76万6,000円)と彼女らの悲惨な経験をとても埋め合わせるものではない。
裁判に証拠書類として提出された資料によると、首都ソウルを囲む人口密集地、京畿道(キョンギド)は1961年、「(米軍を中心とする)国連軍への慰安と士気高揚のために慰安所を準備することが急務」と考え、民間クラブに慰安所運営の許可を与えた。5万人の米兵の相手をするために慰安婦の数も1万人に増えた。
慰安婦の中には金銭目当てに自らの意思で基地村に入ったものもいるが、チョさんのように拉致されたり、他の仕事の約束で騙されたりしてきた女性も多数いた。一回の性行為の料金は通常5~10米ドルで、米兵から受け取った金はヒモに没収された。