◆森の中の一軒家でひとり暮らしをする92歳

 森の中の一軒家でひとり暮らし。おとぎ話に登場するようなシチュエーションですが、実際にはイノシシや鹿が畑を荒らしていく。その中心人物の中田俊子さんは92歳。中田さんのやさしい人柄と手入れの行き届いた家は、「寄合の場」になっているそうです。

中田俊子さん(92歳)
中田俊子さん(92歳)(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)
 私の実家もいわゆる田舎の一軒家でしたから、季節ごとに庭を整えるのは結構難儀だということを、身に染みてわかっています。しかも中田さんの住まいは森の中。急斜面にある畑の管理もしているとあっては、その苦労も並大抵ではないと察しがつきます。とはいえ中田さんの庭や家は整然としていて、人が自然と吸いよせられてしまうのでしょう。

 その理由は中田さんの人柄に加えて、ていねいな暮らしぶりにあるようです。食事は自炊、梅干しや柏餅、よもぎ餅なども手作りします。人をおもてなしするのも大好き。ついつい長居してしまうのもうなずけます。