にしおかすみこさんが自身の認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と同居を始めた2020年からのことを赤裸々に綴る書籍『ポンコツ一家2年目』が発売中です。
『ポンコツ一家2年目』はその名の通り、前作の『ポンコツ一家』に続き「同居から2年目」を描いた待望の2作目。発売前に重版が決定するという好スタートを切りました。
そんなにしおかさんが日々大切にしていることは、自分自身だといいます。話を聞きました。
◆気をつけているのは「話を盛らないこと」
――今回の“2年目”書籍化、たくさんの反響があったかと思いますが、どのように受け止めていますか?
にしおかすみこ(以下、にしおか):笑っていただきたくて書いたので、やっぱり「笑った!」と言ってくださるのは嬉しいです。「泣いた」「感動した」も!ああ、書いて良かったなあと、私のほうが元気をいただきます。
――もともとの連載が2021年スタートで3年が経ちますが、気をつけていることはありますか?
にしおか:話を盛らないことです。ウチの家族もそうですが、認知症や障がいのある方々が誤解されることのないようにと思っています。連載は1年前のことを書いていますが、日常の母や姉が実際に言ったことはスマホのメモアプリに入れています。言ってもいないこと、やってもいないことは書きません。私自身がすごく疲れてしまって、メモに書く元気もなく、何もアプリに残っていない日々もたくさんあります。そういうのは記憶もあやふやなので書きません。
あと、書くことで頭が整理されると聞いたりするのですが、私は今のところないです(笑)。1年前に腹が立つ出来事があったときは、そのメモを見て、今も同じくらい腹が立ったりします。1年前にわからなかったことは、今も解決してなかったり。そういうときは「わからない」と書きます。
◆私は“劣等感のかたまり”。でも…
――そもそも家族を題材にしようと思われた理由について教えてください。