69歳の父が「500万円」で実家をリフォームするそうです。「年金を一括でもらうから大丈夫」とのことですが、本当にそんな請求できるのでしょうか?
年金は原則として65歳になると受給可能です。繰下げ受給を選択すればもらえる年金が増額されるため、意図的に受給開始を遅らせる人もいます。ただ貯蓄が少なく、ほかに収入がない人だと、繰下げ期間中に大きな出費があったときはどうすればいいか心配になるかもしれません。   本記事では、69歳まで年金を受給していなかった人が、急に大きなお金が必要になった場合、それまでの年金は一括して請求できることを解説します。また、70歳以降の請求に関する特例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?

そもそも繰下げ受給とは

「繰下げ受給」とは、原則65歳からの年金受給を遅らせることで、増額された年金を受け取れる制度です。繰下げ受給を選択した場合、受け取ることができるのは66歳になってからですが、以降は月単位での繰り下げも可能で、月0.7%、年間8.4%の割合で年金が増額されます。
 
そのため、増額率は70歳まで繰り下げると42%、最大となる75歳までで84%にもなります。受給開始以降は増額された年金を一生涯にわたって受給できるため、「長生きリスク」を大きく軽減させることが可能です。
 
一方、デメリットは、繰下げている間は年金が支給されないことです。そのため、収入がない場合、繰下げ期間中の生活費を補えるだけの貯蓄が必要になります。また、繰下げ受給を開始した後の受給期間が短ければ、結果的に年金の受給総額が少なくなる場合もあります。
 
そういったこともあってか、65歳以降の年金の繰下げ受給を選択している人は、令和4年度末現在で、厚生年金受給者の1.3%、基礎年金受給者の2.1%に過ぎません。つまり、大半の人が原則どおり65歳で受給を始めているのが現状です。
 

繰り下げていた年金は一括受給できる