◆地元を出たい気持ちはあれど
重くなるフットワーク。「出たい」と「出る」のあいだには、見えないけど大きくて深い溝が開いている。越えるために背中を押してくれる決定的な出来事があれば、話は別だ。
「私の場合は、長く勤めていた会社を辞める大きなきっかけがあったんですよね」
それは、給湯室での出来事だった。その会社では、男性職員が使ったカップを女性職員が洗うという、暗黙のルールがあった。
「私、洗わなかったんですよ」とモモエさんはきっぱり言う。潔い。
「自分で使ったものを自分で洗うって、当たり前のことですよね。それを女性に押し付けておきながら、彼らの口から『お願いね』『ありがとう』って言葉が出たことは一度も聞いたことがない。女性って“ただ”で使われるんだなと思ったんですよ。
以前は私も、ついでに洗っとくかぐらいの感じだったんですけど、そのうち、なんで洗わなきゃいけないんだろう、と考えるようになりました」
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