人の不幸や悪口は確かに面白いだろう。有名人が滑り落ちていく様は尚さら愉快だろう。しかし、それで何か救われるのか。人を不幸にすることはあっても、救われることはないのだ。今の世の中全般に言えることは、後出しジャンケンが罷り通っていないだろうかということだった。

 そこに誰も違和感を持てなくなってしまったのだろうか。それならば、随分と手遅れではないか。

 『インフォーマ』という作品では、いちばんにそのことを伝えたかった。情報ひとつで、人の人生を狂わすのだ。報じる側もそれなりの覚悟があって当然のことではないのか。

 その上でそこに正義はなくとも、スクープを打ち出したときは、記者として堂々と胸を張るべきだと私は三島寛治を通して伝えたかった。どこまでいっても、メディアは要するに「ヒットアンドアウェイ」なのである。

 ただ、そのメディアすらもコントロールしようとする人間も世の中には確かに存在していて、木原慶次郎がそうだったのだ。

「クソみたいな世の中」という木原の言葉に、私は全てを凝縮させた。クソみたいな世の中だからこそ、人を裏切らずに泥臭く人のために生きることがどれだけ大切なことであるか。今、それが試されているのではないだろうか。

『インフォーマ』を乗り越えていく作品たち

 兵庫県尼崎市から始まった物語は、シーズンを通して尼崎市へと帰ってきた。私に地元愛なんて清々しいくらいないが、尼崎が私の生まれ育った街である。そこに何かを残したいという想いが強烈にあって、それを持って世界で戦いたいと思っていた。

 世界に出る以上、もうシーズン1でインフォーマとしてのお披露目は済ませている。
 ハリウッドだろうが、韓国作品だろうが、『インフォーマ −闇を生きる獣たち−』では、負けられないと思っている。1番になりたいというよりも、『インフォーマ』が世界を席巻していくことで、これからたくさんの作品がそれを乗り越えて行ってほしいと思っている。それをまた更に乗り越えていくのが、私たちの仕事だと考えているのだ。