やがて、新聞の尋ね人の欄から、左右馬と鹿乃子はこの女性が蘭子(加藤小夏)という名前であることを知ります。蘭子はかつて使用人として働いていた屋敷で、その家の令嬢・鈴乃(兼光ほのか)と姉妹のように仲が良かったこと。屋敷の隣のテーラーで働くようになり、若旦那・柾(福山翔大)といい関係になったこと。鈴乃と柾が結婚することになり、蘭子が家を出てしまったことを聞いた左右馬は、探偵の仕事として蘭子の行方を探すことを承ります。
とっくに蘭子の居場所を知っている左右馬でしたが、無理に蘭子を家に帰そうとはしません。その事情を聞くと、蘭子はテーラーの若旦那ではなく、令嬢に恋をしていました。結婚が決まり、どうしても祝福できない蘭子。自分に嘘はつけないと左右馬に語りました。
そんな蘭子に、左右馬は「あなたが嘘をついたのは鈴乃さんの幸せを願えないからじゃなくて、それでも願いたいからなんじゃないですか?」と問いかけます。
屋敷に戻り「私はお嬢様と柾さんの幸せをずっと願ってる」と嘘をつく蘭子。いま嘘をつくことで、いつか蘭子は本当に2人の幸せを願えるようになるのかもしれません。
そんな蘭子は、鹿乃子の左右馬への思いを逆に見抜いていました。
「がんばってね、鹿乃子ちゃん」
そう耳元でささやかれ、慌てて「私は助手として……!」と取り繕おうとしますが、その言葉は鹿乃子自身の耳に、固くこだまして響くのでした。
ああ、なんて愛らしいハッピーエンドでしょう。ラストのカーテンコールもオシャレでよかったね。
できること、やっていいこと
脚本としては、ここまで原作に忠実なドラマも珍しいところです。コミックからエピソードを抽出し、話数の順番を入れ替えるだけで1クールの連ドラとして成立させています。
コミックの実写化という作業は、モノクロのイラスト群をリアルの世界に立ち上げる魔法です。テレビという媒体の力、予算、スタッフィングを駆使すれば、どんな形にだって仕上げることができる。だからこそ、実写化という作業にはやっていいことと悪いことがある、近年、それを関係者やドラマ視聴者全員が痛感する出来事もありました。