ただし、そのような『誰が見てもダメだろう』というものではなく、『ある種の表現物、著作物』のクレジットカード取引を規制するというのは、表現の自由(憲法21条)に深く関わることになるので、きわめて慎重に対応しなければなりません。
なぜなら、憲法は『国と国民』の関係を規律するものとはいえ、クレジットカード関連会社と加盟店の関係においては、『私人間効力』という憲法学上の問題が発生し、簡単に言うと『表現の自由を保護する憲法21条の趣旨に鑑み、クレジットカード関連会社の取引拒絶行為について不法行為が成立し、損害賠償の対象となる可能性がある』ことになるからです」
さらに山岸弁護士は以下のように指摘する。
「クレジットカード決済が、今や電気、水道、ガスといったライフラインに匹敵するようなインフラであることを考えると、例えば『電気事業者』は一般人の電気供給契約を拒否できない、『医師』は治療を求める人の診療を拒否できない、といったようなものと同様の政策的な修正が必要なのかもしれません」
(文=佐藤勇馬)
■協力=山岸純/弁護士・山岸純法律事務所代表
時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。山岸純法律事務所