決済停止の具体的な理由については「マンガ図書館Z」の例のように「アダルトコンテンツの取り扱い」が主な原因と考えられているが、どのような内容が問題視されているのかははっきりと分からず、ニコニコ動画のようにアダルト系に特化していないサイトが対象になるケースもあり、かなり不透明だ。
また、2022年にアメリカで未成年の少女が「自分の映像が無断でポルノサイトにアップロードされた」として裁判を起こし、Visaも「児童ポルノが掲載されているのを知りながら決済手段を提供していた」として被告に指定された。これを機にVisaやMastercardといった国際系カードブランドのガイドラインが厳しくなったことが影響しているとの指摘もある。ただ日本での規制対象は二次元系のサイトが中心になっているように見受けられる。
決済終了については、複数の事業者が「決済代行会社から一方的に通知された」と明らかにしている。また、表現規制問題に取り組む山田太郎参院議員は、VISA本社で聞き取り調査したところ、担当者から「VISA本社は、特定の用語を含むコンテンツについて、取り扱ってはならないといった指示を出したことはない」「合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行なっていない」との回答を得たとしている。
こうした状況から「誰が規制を主導しているのか」という大きなポイントが見えづらくなり、対応が難しくなっているが、そうしている間にも“クレカ規制”の波は拡大している状態だ。
この問題については、識者の間から「特定のサービスへの一方的な決済拒否は独占禁止法などの法律に触れるのでは」との指摘も上がっている。そうなればクレジットカード会社や決済代行会社に大きな問題が浮上することになるが、そのような可能性はあるのか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士はこのように解説する。
「加盟店が決済代行会社やクレジットカード会社と加盟店契約をする際、当該契約には、いわゆる”べからず集”として、『児童ポルノを営業していないこと』『違法カジノを営業していないこと』『反社会的勢力ではないこと』などの禁止約款が明記されています。もし禁止約款に当たるような表現や行為があれば、当該約款に基づいてのものである限り、資本主義における『契約自由の原則』の通り、決済を停止することは可能です。