※筆者作成
 
表1からも分かるように、生前贈与で受け取った金額が多いほど相続税額は低くなります。今回のケースだと、生前贈与で7000万円以上受け取っていれば相続財産が3600円以下になるため、相続税はかからないでしょう。
 

全額をまとめて生前贈与で受け取ると税額は高くなるケースがある

基礎控除額内ではなく、生前贈与としてまとめて相続したい財産を受け取ると、相続したときよりも税額が高くなる場合があるので、一度計算することがおすすめです。
 
例えば、先ほどと同じ条件で1億円を贈与されたときの税額を計算しましょう。まず、基礎控除額を引いた9890万円が課税対象になります。条件を基にすると、贈与税率や控除額、また贈与税額は以下の通りです。


●贈与税率:55%
●控除額:640万円
●贈与税額:4799万5000円

同じ金額の相続と贈与では、3579万5000円の差になります。
 

生前贈与の注意点

節税のために毎年同じ金額を贈与として受け取っていた場合、贈与税の計算基準が通常と変わる可能性があるため、注意しましょう。
 
国税庁によると、毎年その金額を何年も連続で受け取ることが事前に約束されているときは、約束をした年に「総額を分割して受け取る権利」を贈与されたと扱われると示しています。
 
一度に税金がかからないようにするには、毎年お金を渡すたびに贈与契約を結ぶ必要があります。贈与契約書のように書面に残しておくと、もし、税務署に指摘されても説明しやすいでしょう。
 
また、生前贈与を受け取っていた際、相続開始前の3年〜7年以内に受け取った贈与財産は相続財産として加算されます。加算される期間については、相続開始日によって以下のように異なります。


●~令和8年12月31日:相続開始前の3年間
●令和9年1月1日~令和12年12月31日:令和6年1月1日~相続開始日
●令和13年1月1日~:相続開始前の7年間