父の財産が1億円もあるらしい…!相続税が高くならないか心配なのですが、「生前贈与」を活用した方が支払う税額を抑えられるのでしょうか?
親から相続する財産が多いと、納付する相続税額も高くなります。あらかじめ相続財産について伝えられている場合は、相続時に全額を受け取るのではなく、一部を生前贈与で受け取ると税金を抑えられるかもしれません。   ただし、生前贈与を活用する際は、基礎控除額や受け取り方による違いを知っておきましょう。贈与税の金額が相続税額を上回る可能性もあるためです。今回は、生前贈与の活用で相続税額がどれくらい変わるのか、また生前贈与の注意点などについてご紹介します。

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一部を生前贈与にすれば税額が減る可能性がある

相続税の対策として、亡くなる前に生前贈与の形で渡す方法があります。贈与税の基礎控除額は年間110万円なので、超えない範囲で毎年受け取れば贈与税もかからず、相続税の負担を軽減できる可能性があるためです。
 
そこで、生前贈与を活用し、一部財産を贈与してから残りを相続した場合の税額を比較しましょう。条件は以下の通りとします。


●相続するのは子ども一人
●相続開始日は令和13年1月1日以降
●1億円以外に相続・贈与がない
●基礎控除以外の控除は考慮しない
●贈与は暦年課税を選択、基礎控除額内で毎年受け取っているとし、贈与税は考慮しない
●生前贈与を受けた場合は、相続開始前の7年以内には毎年100万円を受け取っている(計600万円が相続財産に加算)

相続税は基礎控除額が「3000万円+法定相続人数×600万円」のため、今回の条件では相続金額から3600万円を引いた金額が課税金額です。条件を基にすると、生前贈与された金額別の税率や税額などは表1のようになります。
 
表1

財産合計 1億円 1億円 1億円 1億円
生前贈与額 0円 3000万円 5000万円 7000万円
生前贈与の
相続財産加算分
0円 600万円 600万円 600万円
相続財産 1億円 7600万円 5600万円 3600万円
課税金額 6400万円 4000万円 2000万円 0円
税率 30% 20% 15% なし
控除額 700万円 200万円 50万円
税額 1220万円 600万円 250万円