でも、こういうのって「栄養士のドラマ」だったら避けたほうがいいと思うんですよね。例えば「野球選手のドラマ」で、その野球部の監督に「ウサギ跳びは足腰の強化に最適だ」とか「練習中は水を飲まないほうが根性が鍛えられる」とか言われると、やっぱり「ん?」となっちゃうわけです。あくまで現代の人に見せるドラマとして作られているわけだし、登場人物がその専門性を披露するシーンでアップデートされていない情報が出てくると、シンプルにドラマそのものの見識を疑ってしまうことになる。
そういうことを考えていたら、次のセリフに軽く心を折られることになります。
「なめこと豆腐のお味噌汁は、体にすごいいいし」
なんだよ「すごいいいし」って。その味噌汁の何がどう「体にすごいいい」か、あなたの勉強した栄養士の知識で説明してちょうだいよ。
ここね、セリフに「結の成長を感じさせよう」という思いが込められていないんです。結が「わかるようになった」と言えば、もう「わかるようになった」んだからいいだろ、という作り手の傲慢な姿勢が垣間見えるわけです。視聴者がどう感じるかが考慮されておらず「それを説明したか、していないか」という脚本上の事実関係さえ押さえてあればオッケーとされている。そういうところなんですよね。そもそも「おもしろい」と思わせようとしてないんだ。
これこれ。これが『おむすび』でした。そういうドラマを見ていたんだと思い出させるには十分なエピソードでございましたね。
さて本題の「結婚って何なん?」ですが
糸島で、黒髪化した翔也(佐野勇斗)に涙、涙の逆プロポーズをかました結さん。糸島からジジババ&翔也を連れ立って神戸の自宅に帰ってきました。
ご機嫌な様子で、家族に対し結婚を宣言。さぁ、コメディの始まりです。結婚に反対するパパ(北村有起哉)と、闇雲に応援するおじいちゃん(松平健)。定番の「娘さんをください」をやろうとする翔也と、困り果てる結さん。海外では事実婚がどうしたこうしたと、薄っぺらい知識を披露してしたり顔のアユ(仲里依紗)。はたから見ていると、出演者全員が損をしているようにしか感じられませんが、現場は楽しいんだろうな。「はい、カットーッ!」「わははは!」「いいですねー! よかったですよー!」そんなおじさんたちの声が聞こえてくるようです。