同じ刑務所でも、刑期10年以上の受刑者を収容している刑務所と10年未満を収容している刑務所とでは、受刑者の心構えからして異なるようだ。
 ある殺人犯は、社会では誰しもが顔を顰める事件を起こし、無期懲役になったが、LB級刑務所内の工場でいじめられて独居で自ら首を括って命を絶った。ある抗争事件の実行犯2人も中で酷い仕打ちを受け、今でもそれが業界関係者の間では語り草となっているという。

ーーでは最後に聞きたいが、長期刑を務める正月休みは何をしている?

C氏 十何年も社会から遠ざかると強迫観念に迫られるんです。シャバに帰って本当にやっていけるのかという恐怖です。そのため、ある者は読書に没頭したり、ある者は教養を深めようと勉学に励んだりしています。正月休みという大型連休では、そうした時間を普段以上に確保することができる。意外かもしれませんが、ほとんどの懲役がテレビを観て、寝て、「極楽、極楽」なんて言うような、堕落した正月なんて過ごしていないですよ。

 それが本当であれば、恐れ入る話である……言っては悪いが、それらは極悪犯ばかりである。LB刑務所に収容されているほとんどが、人の命に関わる事件を起こし、世間を震撼させてきたはずだ。しかし、中での務め方という点においては、修行者のような暮らしを送っている長期受刑者たちも少なくないというのだ。
 彼らがその勤勉さを社会にいる間にもつことができていれば、もっと違った人生になっていたのではないかと思わずにいられなかった。

(文=佐々木拓朗)