C氏 それはないと思います。「執念で生きてシャバに出るんだ!」と自分に言い聞かせながら、運動時間はだいたい身体を鍛えています。ただ、有期刑の上限が20年から30年に上がったんで、無期では最低でも30年は務めないと出られません。それも無事故(刑期中に規律違反をしないこと)でです。それだけじゃないんです。無期の場合は、まあ無理ですが、万が一にシャバに帰れてもずっと仮釈放中ですので、身元引受人が必要になってくるんです。5年や6年後ならばまだしも、30年や40年後に身元引受人になってくれる人が生きているかわからないし、身内からしても突然そんな厄介者が帰ってきたら嫌じゃないですか。実際、今の無期というのは終身刑みたいなもんですよ。

 C氏は、無期懲役の受刑者が再び社会へ戻れる可能性が高くないことを理論的に説明してみせた。確かにC氏の言う通りだろう。刑の満期がない以上、自分だけが真面目に務めていれば良いわけではない。身元引受人になってくれる人にも、心変わりせず、社会で元気でいてもらわなければならないのだ。

 では、やはり10年未満の受刑者を収容している刑務所同様にLB刑務所でも正月になると、飲食物のやりとりなどで、事故落ちするケースが多いのだろうか。C氏の答えはにべもなかった。

C氏 いくら、食べ物、特に甘い物に飢えているとはいっても、命懸けでそんなバカなことをしてまで、他人のお菓子を食べたいと思う懲役なんていないですよ。それはガチャガチャと騒がしい短期刑の刑務所なんかでよくあることでしょう。仮釈が飛んでも、(延びる延期日は)たかだか数カ月でしょう。だけど長期は違います。一度の懲罰で仮釈が何年も飛ぶんです。それに看守だって短期の刑務所とは訳が違い、めちゃくちゃ締まっている(厳しい)んです。多少いや吉(嫌がらせ)しても、長期の場合は、最低でも10年以上はまだシャバに帰れないんですから、怖くもなんともないじゃないですか。ただ、その反動と言うか、いったんケンカになるとだいたい事件送致になるくらい徹底的にやりますね。今さら、殺人未遂で(刑期が)20年が25年に延びたところで関係ないと自暴自棄になるんです。実際は関係あるんですけどね。