犯罪の減少は、合法化によって警察が大麻をめぐる捜査をやめることで、凶悪事件への捜査に力を振り向けることができ、治安の向上につながるという理屈によるものだ。
大麻合法化の現実
コロラド州とワシントン州では合法化後に凶悪事件の検挙率が向上したとの指摘もある。しかし、犯罪だったものを犯罪としてカウントしないというだけの見せかけの「犯罪減少」という側面もあり、本当の意味での治安回復にはつながらない。
ニューヨーク市内では、外を歩けば必ずと言っていいほど大麻の臭いがする。車で窓を閉めて走行していても、どこからともなく大麻の臭いが漂ってくる。それほど大麻は身近に存在する。
ブロンクスなどでは地下鉄の駅近くに、違法な大麻販売の露店が並び、街路樹の根元で大麻栽培が行われている。
合法化によって消滅するだろうと州当局が期待した大麻のブラックマーケットは、活況を呈している。許可された業者だけでは大麻の需要はまかないきれない。合法化で需要は伸びるばかりだ。米CBSなどによると、ブラックマーケットは中国マフィアが牛耳るようになり、メーン州などでは、中国マフィアの巨大な違法大麻栽培農場が摘発されている。
中国マフィアは違法大麻で得た資金を、米国で最も深刻な薬物過剰摂取を引き起こしている合成麻薬「フェンタニル」の製造・密輸に回しているとされる。大麻の合法化が違法薬物のまん延を助長させてしまっている。
(文=言問通)