一方で薬物のまん延から抜け出せず、毎年10万人以上が薬物の過剰摂取で死亡している米国では、大麻は合法化の道を歩んでいる。

 2012年にコロラド州とワシントン州で大麻の娯楽使用が認められて以降、2014年にアラスカ州、オレゴン州、首都ワシントンが、2016年にカリフォルニア州、メーン州、マサチューセッツ州、ネバダ州が、2018年にミシガン州、バーモント州が、2019年にイリノイ州、グアムが、2020年にニュージャージー州、モンタナ州、アリゾナ州が、2021年にニューヨーク州、バージニア州、ニューメキシコ州、コネチカット州が、2022年にロードアイランド州、メリーランド州、ミズーリ州が、2023年にデラウェア州、ミネソタ州、オハイオ州が、それぞれ住民投票で合法化を決めている。その数は24州と2地域に上る。

 個人が所持できる大麻の量や、個人で栽培できるかどうかは州によって異なる。例えばマサチューセッツ州では、21歳以上の成人なら1オンス(28.35グラム)まで持ちあることができ、自宅に10オンス(283.495グラム)まで保管することができる。家庭での栽培も認められており、1人当たり6本まで、成人2人以上の世帯では12本までの栽培ができる。

 米国は、連邦の法律では大麻は違法薬物である。薬物の製造や乱用を取り締まる「規制物質法」で、大麻はヘロインや合成麻薬LSDなどとともに、乱用の可能性が高い「スケジュール1」に分類されている。

州が大麻を合法化する理由は

 連邦法に反してでも州が大麻を合法化させるのは、税収の拡大と犯罪件数の減少を達成させるためだ。

 合法化された州では、当局の許可を得た業者だけが大麻の製造と販売が許される。州は売り上げに対して課税するが、大麻だけの物品税を導入している州もある。

 大麻合法化を推進する米国最大のロビー団体「マリファナ・ポリシー・プロジェクト」の試算では、2023年だけで合法化した州の大麻関連の税収は40億ドル(6000億円)に上ったという。