そのニュアンスが爆発したのが、第16回の「結ちゃん、アユにブチ切れる」の回でした。

 カリスマ・アユ(仲里依紗)の御帰還に興奮したハギャレン一同が米田家に押し掛けてきて、ギャルの伝統を守ってきたことを伝えた場面です。

「てかさ、ギャルとかもうやめなよ、超ダサいから。あとその『ハギャレン』って、死ぬほどハズいから、とっとと潰しちゃいなよ」

「この子たち、結の友達なの? あんたさ、もっと付き合う子、考えたほうがいいよ」

 アユの言い草もひどいもんですが、そう言われた結が涙ながらに反論します。

「こうなったの全部、お姉ちゃんのせいなんやけど。お姉ちゃんがリーダーやったけん、仲間になってほしいって頼まれたんよ」

「助けてほしいって頼まれたの、断れるわけない」

「こうなった」は明らかに被害者の立場からの言葉だし、「断れるわけない」は例の呪いです。ここ、お芝居としては前半のハイライトになるべき橋本環奈の超熱演シーンだったわけですが、その内容が「全部ずっと嫌々やっています」という告白だったのはゲンナリだよね。芝居の熱量とメッセージの方向性が合ってない。目の前で、仲良くなったと思ってる友達に「こうなった」なんて言われちゃったハギャレンたちのお気持ちは察するに余りあるところです。ここが「結、主体性がない」というこのパートの欠点の極みです。あえてそうしたと言われればそうなんだろうけど、性格悪く映っちゃってるし、結果おもしろくないんだから失敗としか言えない。

 その勢いで「マキちゃんのことも……!」なんて震災についてのトラウマを語り出すわけですが、これもなぁ。しんどいのよなぁ。

こじつけられる阪神・淡路大震災

 このドラマの土台、根本であるはずの阪神・淡路大震災についても、単なるこじつけとして引き合いに出されるシーンがありました。

 海辺で翔也に震災のトラウマを語るシーン。翔也の「いつも寂しそうにしている」という言葉に反応して語り出すわけですが、このときの結は風見先輩の清楚系彼女の存在にヤラれているだけで、震災のことなんて一切考えていなかったはずなんです。ただ、風見先輩という第1の男との恋愛が終わって、翔也という第2の男にバトンタッチするためだけに、震災が引き合いに出されている。