また主人公・七実を演じたのは、前出のドラマ『不適切にもほどがある!』や映画『あんのこと』で注目を集めた河合優実。彼女の豊かな心情表現が光る、笑いあり、涙ありの名作です。
◆6位:新宿野戦病院
「ふてほど」に加え、ドラマ『季節のない街』(Disney+/テレビ東京系)、スペシャルドラマ『終りに見た街』(テレビ朝日系)と、今年は宮藤官九郎脚本が多くて嬉しい1年でした。なかでも好きだったのは、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。破天荒な元軍医・ヨウコ(小池栄子)と、気取った美容皮膚科医・亨(仲野太賀)を中心に、新宿歌舞伎町にある「聖まごころ病院」の救急外来で起こる悲喜こもごもが描かれました。
強烈な登場人物たちを魅力的に描きながら、いまの時代を絶妙に切り取るクドカン作品。本作では“多様性”という言葉ですべてを許容しているかにみえるイマに蔓延る“違和感=不平等感”を物語のなかで浮き彫りにしていました。
不平等な世の中だけど、小池栄子が「命は平等」と“雑~に”寄り添ってくれる面白さがクセに。そして最後の2話では、未知のウイルス・ルミナとの戦いを、真正面から描きました。現実世界の“コロナ禍”と重なる描写――その重みとリアリティは強烈で、忘れられない作品に。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201