投資初心者の方によくあるお悩みの1つは「株チャートの見方がわからない」でしょう。また「なんとなく見ていたけど、実はよく意味が分かっていない」という方もいらっしゃるかもしれません。

株チャートの見方や考え方はたくさんありますが、本記事では初心者向けとし、基本的なポイントに絞って概要を押さえます。初心者の方はもちろん、経験者の方も復習用として参考にしてください。

株チャートの見方① ローソク足(あし)「4つの価格をひと目で」

「ローソク足」とは、4つの価格(始値、高値、安値、終値)を表したもの

ローソク足は 「株価の4つの価格」 を表したものです。

【株価 4つの価格】
- 始値(はじめね):最初に付いた価格
- 高値(たかね):最も高い価格
- 安値(やすね):最も安い価格
- 終値(おわりね):最後に付いた価格
※4つの価格を合わせて「四本値(よんほんね)」と呼びます

ローソク足は、 株価の4つの価格を「1つの図」 で表しています。

(画像=著者作成)

ローソク足は「陽線(ようせん)」と「陰線(いんせん)」の2種

ローソク足には、大きくわけて以下の2つの種類があります。

〇陽線:始値より終値が高い
〇陰線:始値より終値が安い

「陽線」の場合はローソク足を白く、「陰線」の場合はローソク足を黒く 塗り、区別します。

(画像=著者作成)

ローソク足を書いてみましょう

ローソク足に慣れるため、一度ローソク足を書いてみましょう。簡単な問題を2つ出しますので、紙とペンで書いてみてください。

書くのが面倒ならイメージを思い描くだけでも大丈夫です。

【問題.1】
始値:100円
高値:100円
安値:80円
終値:85円

(画像=著者作成)

【問題.2】
始値:100円
高値:120円
安値: 95円
終値:100円

(画像=著者作成)

期間別に「日足(ひあし)」「週足(しゅうあし)」などの種類が

ローソク足は1本でさまざまな期間を表す場合 があります。

「ローソク足の期間の違い」を 「足種(あししゅ)」 といいますが、主なものを以下にまとめます。

【ローソク足 主な足種】
- 5分足:始値~終値の期間が5分
- 日足(ひあし):始値~終値の期間が1日
- 週足(しゅうあし):始値~終値の期間が1週間
- 月足(つきあし):始値~終値の期間が1ヵ月

例えば「日足」の高値は、その1日の高値を表しますが、「月足」の高値は1ヵ月間で最も高い価格を意味します。

ローソク足の基本的な見方

ローソク足には、いくつか 典型的な形 があります。たくさんの種類がありますが、基本的な 「大陽線」「大陰線」「十字線」 を解説します。

✔︎大陽線(だいようせん):チャート上で目立つ大きな陽線 一般的に買いシグナル
チャート上で、他に比べて大きな陽線を「大陽線」と呼びます。一般的に、 今後の上昇を示唆 していると考えられており、 出現は買いのシグナル とされます。

(画像=著者作成)

✔︎大陰線(だいいんせん):チャート上で目立つ大きな陰線 一般的に売りシグナル
大陽線とは逆に、他に比べて大きな陰線を「大陰線」と呼びます。出現すると、一般的に 売りのシグナル とされます。

(画像=著者作成)

✔︎十字線(じゅうじせん):胴体がない 一般的にトレンド転換シグナル
上述した問題.2のように、胴体がなく、上ひげと下ひげが長いローソク足を「十字線」と呼びます。買いと売りが拮抗していると考えられ、 トレンドの転換を示唆する とされています。

下落トレンド時に出現した場合、上昇トレンドへの転換を示唆しているとされ、買いシグナルとなります。

逆に上昇トレンド時に出現した場合、下落トレンドへの転換と考えられることから売りシグナルとなります。

(画像=著者作成)

株チャートの見方② 移動平均線 大まかなトレンドをチェック

次は 「移動平均線」 を確認しましょう。

ローソク足と一緒にチャート上に表示されることが多く、株価の大まかな トレンドの把握に便利な指標 です。

「移動平均線」とは、過去の株価の平均を線で結んだもの

「移動平均線」は、その名の通り 過去の株価の平均を取り、チャート上に線で表示したもの です。

株価は急激な動きとなる場合がありますが、移動平均線は過去の平均を取るため比較的ゆるやかな動きになります。

移動平均線は一般的に、 「平均を取る期間が異なる2本の線」が表示 されます。長い期間さかのぼって平均を取るものを「長期移動平均線」、短い期間の平均を取るものを「短期移動平均線」と呼びます。

移動平均線の基本的な見方

移動平均線は、 上向きなら上昇トレンド、下向きなら下落トレンド と考えるのが基本的な見方です。

移動平均線の場合、さらに「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」を覚えましょう。

✔︎ゴールデンクロス 上昇トレンドへの転換
ゴールデンクロスとは、 短期移動平均線が長期移動平均線を、下から上に突き抜ける現象 を指します。

一般的に上昇トレンドへの転換を示唆しており、買いのシグナルとなります。

✔︎デッドクロス 下落トレンドへの転換
デッドクロスはゴールデンクロスの逆です。 短期移動平均線が長期移動平均線を、上から下に突き抜ける現象 を指し、一般的に売りのシグナルとなります。

(画像=著者作成)

株チャートの見方③ 出来高(できだか) 取引の活況をチェック

「出来高」とは、株の取引量を表したもの

「出来高(できだか)」は、株の取引量を表したもの です。設定にもよりますが、チャート下部に棒グラフで表示されるのが一般的です。

(画像=著者作成)

出来高の基本的な見方「増加は買い、減少は売り」

一般的に、 「出来高は株価に先行する」 と考えられています。つまり、出来高が増加するなら株価が上昇し、逆に減少するなら下落するとされます。

【シグナルは絶対ではない 過信は禁物】

株チャートにはさまざまな指標やシグナルがありますが、どれも確実に将来を予測できるものではありません。過信しないよう注意しましょう。

また、次からさらに複雑な指標をご紹介しますが、初心者の方には難しいかもしれません。慣れるまでは上述した「ローソク足」「移動平均線」「出来高」を利用しましょう。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

株チャートの見方「応用編」 テクニカル指標を利用しましょう

チャートツールによっては、さらに複雑な指標をチャート上に表示できる場合があります。それらを 「テクニカル指標」といい、より詳しくチャートを分析する場合に便利 です。

テクニカル指標は大きく分けて以下の2つがあります。

【2つのテクニカル指標】
〇トレンド系テクニカル指標:大まかなトレンドをチェック
〇オシレーター系テクニカル指標:買われ過ぎ、売られすぎをチェック

代表的なテクニカル指標を確認しましょう。

トレンド系テクニカル指標 トレンドの方向性をチェック

  • 回帰(かいき)トレンド
    「回帰トレンド」とは、 各終値からの距離が最も小さくなるように直線を引き、その直線の方向で簡単にトレンドを掴む指標 です。この直線を 回帰線 と呼びます。

上昇トレンドなら回帰線は上を向き、下落トレンドなら下を向きます。

  • 一目均衡表(いちもくきんこうひょう) 
    「一目均衡表」は日本生まれのテクニカル指標で、5本の線をチャート上に引き分析します。

一目均衡表は、チャート上に 「雲」と呼ばれるゾーン が表れる点に特徴があります。ローソク足が雲より上にあれば上昇トレンドにあり、逆に雲の下にあれば下落トレンドとなります。

オシレーター系テクニカル指標 買われすぎ&売られ過ぎをチェック

  • 移動平均線乖離率(いどうへいきんせんかいりりつ)
    「移動平均線乖離率」とは、現在の株価が 移動平均線からどれくらい離れているか を表した指標です。

移動平均線乖離率が大きくプラス:買われすぎと考えられ、一般的に売りシグナル
移動平均線乖離率が大きくマイナス:売られすぎと考えられ、一般的に買いシグナル

  • サイコロジカルライン 
    「サイコロジカルライン」とは、 前日比で上昇=勝ち、下落=負けと考え、一定期間の勝率を%で単純に表したもの です。

たとえば12営業日中、上昇の日(勝ち)が9日あればサイコロジカルラインは75%となります。

サイコロジカルラインが大きくプラス:買われすぎと考えられ、一般的に売りシグナル
サイコロジカルラインが大きくマイナス:売られすぎと考えられ、一般的に買いシグナル

1つのテクニカル指標を過信しないよう、複数併用しましょう

テクニカル指標が出すシグナルは万能ではありません 。たとえば買いシグナルが出ているにもかかわらず、その後株価が下落する可能性も大いにあり得ます。

間違ったシグナルを、一般的に「だまし」といいます。

「だまし」を避けるためにも、 テクニカル指標は1つだけ見るのではなく、複数活用 しましょう。複数活用しても万能とまではいえませんが、「だまし」を減らす効果が期待できます。

株チャート分析を実践したい!口座なしですぐ利用できるアプリ

株チャートの見方を理解したら、ぜひ実践してみましょう 。チャートツールを提供する証券会社の口座を持っている方はダウンロードし、 いくつかのチャートを眺めてみて ください。

「口座を持っていないけど、チャートだけ見てみたい」という方のため、口座を持っていなくても利用できるチャートアプリをご紹介します。

ツールを試してみて使いやすいと感じたら、その証券会社で口座を開設するのもいいでしょう。

楽天証券「iSPEED(アイスピード)」

「楽天証券」が提供するアプリ「iSPEED」は、楽天証券に口座を持っていない方でもチャート機能を利用できます。

チャート以外にも、楽天証券が提供するマーケットニュースや、株主優待銘柄を探す機能など、さまざまな機能を利用できます。

>>楽天証券の詳細はこちら(公式サイト)

auカブコム証券「kabu smart」

「kabu smart」は、「auカブコム証券」が提供する投資アプリです。auカブコム証券に口座を持っていない方でも利用可能できます。

投資情報サイト「みんなの株式」と連携しており、過去の株価や業績などから割高・割安の判断の提供も受けられます。

>>auカブコム証券の詳細はこちら(公式サイト)

野村證券「野村株アプリ」

対面大手証券会社「野村證券」の取引アプリ「野村株アプリ」も、野村證券に口座を持っていない方でも利用できます。

チェックしたい銘柄を登録すれば、株価やチャート情報を簡単に呼び出せます。

【口座未開設だと情報が遅れているケースも】

上述のアプリは口座開設していなくても利用できますが、一部の機能が制限されているケースがあります。

口座開設は無料なので、アプリをフル活用したい場合は口座開設しましょう。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

株はチャートだけでなく、業績も確認しましょう 

株チャートの見方が分かると、良くも悪くも、その企業をあまり知らなくても投資判断ができるようになります。

しかし、株式投資の基本は「良い企業を買う」ことです。端的に言えば、「たくさん利益を出しそうな企業」を探して買わなければなりません。そのため、業績のチェックも重要です。

株の投資判断は、チャートだけでなく、業績も確認して行いましょう。

若山卓也
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。 AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。 AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有
 

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