カリフォルニアジリスによるハタネズミの捕食を確認したのは、一連の研究でも今回が初めてで、「その後、捕食の行動を探し始めたら毎日のように観察することができた」と述べている。
「草食でなく雑食、そういう意味で何食べてもおかしくない」
日本のリスの専門家数人にも、今回の衝撃映像について質問してみたが、いずれもリスが動物を捕食するということは聞いたことがなく、米国での調査の詳細がわからないので「コメントのしようがない」という答えが返ってきた。
日々、リスと接している動物園関係者に取材したところ、約200匹のリスを飼育している東京・町田市にある小動物専門の動物園「町田リス園」の内藤良平飼育員が取材に応じてくれた。
内藤飼育員も「リスが小動物を食べたということを聞いたことがない」と、驚きを隠せない様子だ。しかし、「リスは草食ではなく雑食性の生き物なので、ある意味で、何を食べてもおかしくはない」と話している。
日本でもリスは、植物のほかに昆虫や鳥の卵を食べることがあるといわれる。町田リス園ではエサとして木の実や果物など植物だけを与えているが、内藤飼育員もこれまで、セミの死骸などを食べるリスの姿を見かけたことがあるという。
雑食性の動物は生息域の条件次第で、食べ物を変えて、環境に順応して生き延びる。カリフォルニア州ではハタネズミの生息数が過去10年で7倍ほど増加したとされており、カリフォルニアジリスが、爆発的に増えたハタネズミを捕食する行動に出たものとの見方が強い。
ワイルド博士研究員ら研究チームは今後、カリフォルニアジリスによるハタネズミ狩りがどれほどの地域で行われ、世代を超えて受け継がれているのかどうかなどを調べる予定だ。カリフォルニア州ではリスの生態は他の動物の生態に大きな影響を与えるといわれている。ハタネズミを捕食することがカリフォルニアジリスの繁殖に影響を与えているとなると、カリフォルニア州の動物の生態系に広く変化が及ぶ可能性もある。