リスがネズミを捕食する映像が世界に衝撃を与えている。カリフォルニア大学デービス校などの研究グループが公表したもので、リスは捕らえたネズミをその場で食べている。米国では、リスは都市部の公園や住宅の庭先に当たり前のように生息し、イヌやネコに次いで人間生活に近い動物だ。しばしば人間を襲うケースもあることから、リスの肉食行動に恐怖感を抱く米国市民は少なくない。
飛びついて首にかじりつき、頭を切断し肉を引き裂く
映像は今年6~7月にかけて、カリフォルニア州のブリオーンズ・リージョナル・パークで撮影された。米大リーグ、アスレチックスの本拠地があるオークランドから車で20~30分ほどの地域にある公園で、町の喧騒からさほど遠くない。
カリフォルニア大学デービス校などは2013年から、サンフランシスコ湾地域に生息するカリフォルニアジリスの生態を研究しているが、研究に参加する大学院生らが、カリフォルニアジリスがハタネズミを捕まえて、食べている映像をカメラにとらえた。リスとネズミが交わる観察映像72本のうち、42%が狩りをする映像だった。
カリフォルニアジリスはハタネズミを追いかけ、時には後ろから忍び寄るような動きで飛びつき、前足で拘束し、首にかじりつく。頭部を切断して毛皮をはぎ、胴体から肉を引き裂いて食べる姿が確認できた。アフリカのサバンナで狩りをするライオンのようだが、狩りは集団ではなく、いずれも単独で行われている。
観察記録によると、カリフォルニアジリスは年齢や性別に関係なく狩りをしている。野生の草食系動物の場合、メスは出産のため体内に多くの栄養を蓄える必要がある際に、一時的に肉を食べることがあるといわれるが、今回のケースはこうした特殊な条件下でのことではなく、この地域に生息するカリフォルニアジリスの間で捕食が常態化していると解釈できるという。
研究を続けているカリフォルニア大学デービス校環境科学政策学科のソーニャ・ワイルド博士研究員は、映像を初めて見た時「自分の目が信じられなかった」と話している。