意地を見せるかのように高橋をコーナーに追いつめて渾身の膝蹴り。さらに、全日本女子プロレスで活躍した吉田万里子から直伝されたというクモガラミを決める。

 ここで高橋奈七永の雰囲気が変わった。

 情熱の戦闘モードに切り替わった高橋は、強烈なショルダータックルで咲村を吹き飛ばす。そこから超高角度のバックドロップをお見舞い。

 息も絶え絶えの咲村。逃がすつもりなど毛頭ない高橋。

 最後は高橋の拷問固め。咲村良子のデビュー戦は悔しい一敗となった。

 試合後、咲村良子は感激の涙を流した。ただの悔し涙ではない。そこには感謝や感動、そして歓喜や充実感、未来に馳せる想い、そうしたポジティブな感情が溢れていたように思う。

「マリーゴールドの顔になること、そしてゆくゆくは日本の女子プロレスの顔になっていく。そんな大きい選手になれるように頑張って行こうと思ってます」

 咲村良子はそう力強く語った。

 楽な道ではないことはわかっている。厳しい道のりだからこそ歩む価値がある。咲村はそんな風に考えているのだろう。

 デビュー戦で華々しく散ったプロレスラー咲村良子。このプロレス挑戦記「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」では、ヒールも厭わない覚悟で女子プロレスに挑む彼女を2025年も全力で追っていく。

(文=サイゾーオンライン編集部)