「年に1回は海外旅行に行きたい」「好きな俳優の舞台を見に行きたい」、または「もっと広いマンションに引っ越したい」など、仕事に慣れてくるとプライベートでもやりたいことが増えますよね。
ただ、マネー雑誌などに載っている節約術などを試してはみたものの、思ったよりお金が貯まっていかない人もいます。今回は、こうした節約の落とし穴にはまる人と、その対策をご紹介します。
浮いたお金はどこに行く?
外食が多かった人が家で自炊する回数を増やしたり、毎晩お酒をたしなんでいた人がお酒をやめることができたりと、節約を始めてうまく成功するとうれしいものです。
実際に「家で自炊するようになって、月に1万円食費が浮きました」「お酒代が5,000円減りました」と、具体的に削減できた金額を上げて、胸を張る方もいます。
ところが「では、その浮いたお金はどうなっていますか?」と質問すると、意外にも「どこに行ったんでしょう?」と答える方がかなりの数に上ります。
このように“節約は確かに成功しているものの、肝心の貯金ができていない”という不思議な現象が起こることがあります。
節約自体に満足してしまうワナ
実は、適度な節約は、自分に自信を持たせてくれる効果もあります。
例えば、お酒代を減らすと健康にもいいですし、自炊するようになると料理の腕も上がり、栄養のバランスも考えるようになります。
惰性で定期購読をしていた雑誌や、無駄な飲み会などの回数を減らすと、支出の削減になるだけではありません。自分のための時間が持てるようになったり、自分に本当に必要なものが再確認できたりと、理想の生活を見直すきっかけも与えてくれるのです。
しかしながら、頑張った自分に対して、ついついご褒美が欲しくなるのが人間というものです。
節約とダイエットの共通点
節約とダイエットはとても共通点が多いので、ダイエットをしたことがある方なら想像しやすいでしょう。
例えば、糖質制限ダイエットをしているときに、友人にケーキを食べに行こうと誘われます。「普段は糖質制限をしているので、たまには息抜きも必要だよね」と、ついつい自分に甘くなる経験もあるのではないでしょうか。
週に2回ジョギングを始め、実際に消費できているのはわずか300キロカロリーだとしても、「こんなに頑張っているから」と夕食にデザートを追加することもあるでしょう。
このように、誘惑にあらがう強い意志がなければ、節約したお金も消費したカロリーも、日常生活の他の支出に置き換わることも少なくないのです。
貯金につながるシステムを作ろう
節約だけで満足しないためには、節約で削減できたお金を、すぐに貯金に移せるシステムを作ることが一番です。その方法を2つご紹介します。
1. 貯金箱を使った「つもり貯金」
コンビニで飲み物を買うのを我慢できたら貯金箱に150円、いつも買っている美容雑誌の内容が特に必要でなく、買わずに済んだなら800円というように、節約の都度、その金額を貯金箱に入れます。
こうすることで、節約したお金を貯金に即座につなげられますし、実際にどれだけ節約できたか実感することができます。
お気に入りの貯金箱を新たに購入する人もいますが、口が広い缶コーヒーの空き缶や、小物が入っていた空き箱でも十分です。お手軽なので、今すぐ始めてみましょう。
2. 固定費の削減は「自動積み立て」に回そう
全然行けなかった料理教室や、毎月口座から月会費だけ引かれていた定額サービスを解約して浮いたお金は、その金額の分だけ、給与から引き落とされる「自動積み立て」の手続きをしましょう。
自分が節約できた金額がそのまま積み立てに回されますので、自由に使えるお金が増えたと油断することがなくなり、とてもおすすめです。
本当にしたかったことにお金を使おう
これまで当たり前にしていたことを我慢することで節約が成功することは、とても立派です。とはいえ、その節約したお金も何もしないでおくと、一杯のコーヒー代や一冊の雑誌代、またはアマゾンの1-Clickに置き換わることも珍しくありません。
節約をうまく貯金につなげ、「何に使ったんだろう?」ではなく、本当にしたかったことにお金を使えるようになりましょう。
文・松岡紀史(ライツワードFP事務所代表・ファイナンシャルプランナー)
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